土地の相続で必要なことは?手続きの流れや注意点のまとめ
土地活用
2022年7月26日
実家が持ち家の人、親が土地を持っている人などは、家族が亡くなった場合に土地の相続手続きが必要です。ご家族が亡くなったばかりではバタバタしていて相続のことを考える余裕もないかもしれません。しかし、土地の名義変更などをしておかないと後々面倒なことが起こる可能性もあります。
相続手続きは法的な義務などはないものの、確定申告や相続税の申告と関わる部分もあるため、できるだけ早く手続きをしたほうが良いものです。しかし相続の手続きなどしたことのない人がほとんどですから、どうすれば良いかわからないことも多いと思います。
そこで、土地の相続手続きの流れや費用、期限などについて詳しく解説しますので、スムーズに手続きを進めていきましょう。
目次
土地の相続登記手続きの流れ
土地を相続したことのある人の方が少ないと思います。手続きは弁護士など専門家に依頼することになるにしても、どのような流れで進んでいくのか理解しておくことが大切です。
- 遺言書の有無を確認する
- 遺言書があればそれに従う
- 遺言書がなければ法定相続の手続きをする(または遺産分割)
- 相続登記
遺言書の有無を確認する
まず、流れを説明する前に、相続で最も大事な点は遺言書の有無であるということを理解しておきます。遺言書があるかないかによって、手続きの仕方も変わってくるからです。遺言書があれば基本的には遺言書通りに進めます。なければ法廷相続、もしくは協議による遺産分割となります。
手続きが複雑になるのは、遺言書がない場合です。遺言書がなければ法律に従って財産の分配が決まりますので、まずは相続人の人数を確定させなくてはなりません。
つまり相続人の人数によって各人の持ち分が変わってくるため、話し合いをするにも、相続の権利が誰にあるのかをはっきりさせておく必要があるのです。
誰が土地を引き継ぐのか話し合う
相続する人が決まったら、どのようにして土地を引き継ぐのかを話し合います。誰の名義にするかを話し合いますが、必ずしも集まる必要はありません。電話でもメールでも構いませんし、文書のやりとりでももちろんOKです。
なぜ早めに話し合う必要があるのか。それは、土地が分割しづらい財産であり、相続登記をしておかないとのちのちトラブルの元になりやすいからです。誰か一人が引き継ぐのか、引き継いだ後に売却して現金を相続人で分け合うのか、そういったことを話し合います。
ちなみにこれまでは、相続登記を放置してしまったせいで、誰に相続権があるかわからなくなったり、わかってもどこにいるのか連絡がつかなかったりという問題が起こりがちでした。
しかし2024年4月1日から相続登記が義務付けられることになりました。相続登記に3年という期限が設けられ、従わない場合には10万円以下の過料が課されます。
戸籍謄本など必要な書類を集める
不動産の相続には、戸籍謄本が必要になります。相続人全員の分が必要であり、亡くなった人については生まれた時から亡くなる時までの戸籍が必要になるため、集めるのに手間と時間がかかる可能性もあります。
以下の書類が必要になりますので、相続人が確定した時点で早めに取得しておいた方が良いでしょう。特に戸籍は、あちこち転々としていた人だと集めるのが結構大変です。
なお、書類はコピーではなく原本の添付が必要になるものが多いため、どんな手続きに何が必要か、事前に調べてから必要枚数を取得しておきましょう。
被相続人 | 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍、住民票の除票 |
相続人 | 戸籍謄本(全員分)、住民票(名義変更者)、印鑑証明 |
不動産関連 | 固定資産評価証明書(名義変更する年度)、全部事項証明書 |
遺産分割協議書を作成する
話し合いによって誰が相続するかが決まったら、遺産分割協議書を作成します。特に決まった形式はないので、内容がわかるようになっていれば問題ありません。
大事なことは、以下の内容が盛り込まれていることです。
- 被相続人の氏名、死亡日
- 相続人全員が話し合った内容に合意していること
- 具体的な相続内容(分割方法)
- 相続人全員の氏名と住所、実印
印鑑証明書も添付のうえ、相続人がひとり1通所持します。
なお、土地や建物など不動産については、登記とあっていることが重要なので、登記事項証明書の内容をそのまま記載すると間違いないでしょう。
自分たちで作成することももちろんできますが、不備があった場合、有効な書類として認められない場合もあります。心配な場合には、司法書士や弁護士に依頼すると安心です。
相続登記の申請書を書く
分割協議が済んだら、いよいよ相続登記の手続きを行います。相続で最も大変なのは書類を揃えることなので、ここまでくると手続き完了も近いです。
不動産の移転登記を行うには申請書の書式が決められています。法務局のホームページでダウンロードできます。記載例もすべて申請書の書式と同じところに掲載されていますので、参考にしながら書いていきます。
相続登記関連の書類を法務局へ提出する
申請書を記入したら、添付書類とともに法務局へ提出します。提出は、印刷して書いたものを管轄の法務局に持って行っても良いですし、オンライン申請も可能です。
提出してからおよそ1〜2週間で名義変更後の新しい権利証(登記識別情報)が発行されます。これで、相続登記に関する手続きは完了です。
相続登記にかかる費用は土地の価値によって違う
相続登記には、以下の費用がかかります。
- 登録免許税:固定資産税評価額×0.4%
- 登記事項証明書の交付:1通600円
- 戸籍謄本:1通450円
- 除籍謄本:1通750円
- 改製原戸籍謄本:1通750円
- 戸籍の附票の写し:1通300円
- 住民票の写し:1通200円〜300円
- 印鑑証明書:1通200円〜300円
- 固定資産評価証明書:1通200円〜400円
登録免許税は固定資産税評価額がわかれば算出できます。もし3,000万円の土地であれば、12万円となります。登記事項証明書は、オンラインで請求して郵送してもらうと500円、最寄りの登記所で受け取ると480円になります。
このほか、手続きを司法書士などに依頼するとその分手数料がかかります。費用の目安は5万円〜10万円程度です。
相続人が複数いる場合の土地の分割方法
相続人が一人ならあまり揉めないのですが、複数いて、誰が引き継ぐか決まらないときのために、分割の方法も知っておきましょう。
現物分割はものを分け合う方法
土地は長男、家は長女、預貯金は妻というようにそのままものを分け合う方法が現物分割です。これで折り合いがつけば、土地を長男名義に変更すれば良いのです。
しかし、長男と長女で土地を分け合うという話になった場合には、1つの土地を2つに分けて「分筆」という形で登記をします。
代償分割は土地の代わりにお金で分ける方法
土地を複数の名義人で分け合うとなると、のちのちトラブルになる可能性もあります。そこで、土地を相続した人が、他の相続人にお金を払うという方法があります。それが代償分割です。
3,000万円の土地の相続人が3人いた場合、1人が相続し、残りの相続人に1,000万円ずつ支払うというようにして遺産を分け合うのです。そうすれば、土地を相続できなかった人も納得しやすく、トラブルも起きにくいです。
ただし、代償として支払える現金がある場合に使える方法ですので、お金がないと難しいです。
換価分割は土地をお金にして分け合う方法
土地そのものを相続するのではなく、土地を売却し現金化した上でそのお金を分け合う方法です。後腐れのない方法ではあるのですが、土地を売却する手間もあり、誰がその手続きをするのかという点で揉めることもあります。
共有分割は共有名義にする方法
折り合いがつかず、土地を相続人全員の名義にするのが共有分割です。一見、平等な方法ですが、共同名義ですとあとで売ろうとした時にも他の名義人の同意が必要となり、処分しづらくなります。どうしても他の方法が難しいときの最終手段とし、なるべく相続方法にした方が良いでしょう。
土地の相続手続きはいつまでに行うもの?
現在は、土地の名義変更の期限は設けられていませんが、できるだけ早く手続きした方が良いでしょう。他の相続人が勝手に処分してしまう可能性もあるからです。
また、相続放棄は相続の事実を知った日から3ヶ月、準確定申告の期限は4ヶ月です。また、相続税が発生する場合には、10ヶ月以内に納める必要があります。
このような法的な手続きは思った以上に時間と手間がかかりますので、早めに着手することをおすすめします。
▼土地相続にかかる税金についてはこちらも参考にしてください!
まとめ:土地の相続の流れを理解しスムーズに手続きを進めよう
土地の相続は、手続きがなかなか面倒です。揃えなければならない書類が多く、時間も手間もかかります。
遺言書があれば、それに沿って進めれば良いのですが、遺言書がないと相続人に確定から始めなくてはなりません。ここで手を抜いてしまうと、後から相続人と名乗る人が出てくるなどして面倒です。
相続人が確定したら分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。土地を誰が引き継ぐのか、どのような形で名義変更をするのかを相続人で話し合い、納得した上で書面にするのです。
相続人の戸籍謄本など必要書類を揃え、法務局に相続登記の申請書を提出すれば手続きは完了です。5万円〜10万円程度の費用がかかりますが、司法書士に手続きを代行してもらうと楽でしょう。