土地の相続にかかる税金はいくら?計算方法や節税対策を詳しく解説

土地活用

2022年7月20日

亡くなった人から土地を相続する場合には相続税がかかります。ただし、各種控除がありますし、場合によっては税がかからないこともあります。では、自分の土地はどのくらいの相続税がかかるのか、気になるところだと思います。

また、所有権を移転する場合には、登録免許税もかかります。そこで今回は、相続に関する税金の基礎知識や計算方法について解説しますので、この記事を読んでいただければ相続した土地に税がいくらかかるかわかります。

また、節税対策についてもあわせてお話しします。

土地の相続にかかる税金の基礎知識

亡くなった人から財産を相続すると、その価値に応じて相続税がかかります。土地ももちろんその一つです。ただし、土地を相続したら必ずしも相続税がかかるわけではなく、一定以上の評価額の土地について課税されます。

土地を相続したときに課税されるのは相続税以外にも、登録免許税があります。それぞれ、詳しく説明します。

相続税とは?相続した財産にかかる税金

相続税とは遺産を相続したときにかかる税金のことで、現金、土地など受け継いだ財産にかかります。ただし、基礎控除額があり、債務なども引いた上で残った金額に対してかかるため、全員が相続税の対象となるわけではありません。

【基礎控除】
3,000万円+600万円×法定相続人の人数

この金額を超えなければ、相続税はかからないということです。

相続税が課税されていたのは、平成の間は、わずか4%程度に過ぎず、平成25年の税制改正によって対象者が増えたものの、それでも8%程度にとどまっています。

なお、法定相続人には順位があります。

  • 第1位:子供
  • 第2位:親・祖父母
  • 第3位:兄弟姉妹

配偶者は常に相続人となりますが、子供がいれば配偶者と子供、子供がいなければ配偶者と親・祖父母など、配偶者以外の家族は順位が上の人から相続権が認められるということです。

相続税を納める方法

相続税は、相続の開始を知った日から10ヶ月以内に納付することとなっています。まず、相続税が発生したことを管轄の税務署に申告します。税務署から「○○円納めてください」と連絡が来るわけではないので注意してください。

税金を計算し、申告をした後は税務署で納付書を入手します。ここまでの手続きは自分でもできますが、税理士などに依頼するのが一般的です。

<4つの納税方法>

  1. 金融機関での振り込み
  2. クレジットカード
  3. コンビニ(30万円まで)
  4. 税務署の窓口

かつては現金納付しかできませんでしたが、クレジットカードでの支払いなどもできるようになりました。なお、クレジットカードでは領収証が発行されませんので、利用明細で確認します。

10ヶ月以内に納められなかったら?

相続税の延滞は認められていません。もし申告せずに10ヶ月過ぎてしまったり、お金を用意できなくて期限を過ぎてしまった場合には、延滞税がかかります。相続人が複数いる場合で、誰か一人でも納税をしないと、残りの相続人が連帯責任を負うことになります。

だからといって、誰か一人、余裕のある人がまとめて納めることもよくありません。贈与税とみなされることがあるからです。各人が期限までに責任を持って納めることが大切です。

登録免許税とは?登記の手続きにかかる税金

土地は、所有権が登記されています。亡くなった人から土地を引き継ぐとき、登記の名義を変更しなくてはなりませんが、所有権移転登記の手続きの時に納めるのが登録免許税です。

ただし、以下の場合は登録免許税が免除されます。いずれも、今のところ令和7年3月31日までの限定措置となっています。

  • 登記をする前に相続人が亡くなった場合
  • 不動産の評価額が100万円以下の場合

登録免許税の納税方法

登録免許税は、固定資産評価額から税額を計算し、原則、現金で一括納付します。その領収書を登記申請書に貼って提出しますが、納税額が3万円以下の場合は収入印紙で納めることもできます。

土地の相続にかかる税金の計算方法

では、実際にいくらくらいの税金がかかるのか、計算してみましょう。

相続税の計算方法

まず、先ほどもお話しした基礎控除を算出しましょう。夫が亡くなり、妻と子供1人が相続する場合は、このように計算します。

3,000万円+600万円×2人=4,200万円

人数が増えるほど基礎控除も増えます。この金額の範囲内であれば、相続税はかかりません。たとえば、相続する土地の評価額が1億円だった場合には、差額の5,800万円に対して相続税がかかるということです。

なお、土地以外に相続する財産がそれも全て合計し、その総額から控除額を引いてください。

相続額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

ここでは仮に5,800万円に相続税がかかるとして計算してみます。

課税額を法定相続分で割りますので、配偶者と子供、それぞれ2,900万円ずつとなります。もし子供が2人いれば子供1人あたり1,450万円と計算します。

相続税の税率は課税総額によって違ってきます。2,900万円なら15%、控除額が50万円ですので、相続税は385万円となります。

なお、配偶者については相続税の軽減措置があり、1億6,000万円または配偶者の法定相続分までは、相続税がかかりません。つまり、法定相続分が1億6,000万円を超えない限り、配偶者は相続税が課税されないことになります。

登録免許税の計算方法

所有権の移転登記の登録免許税は、「固定資産評価額×0.4%」で計算します。1,000円未満は切り捨てです。

たとえば、評価額が1,000万円の土地を相続した場合は、その0.4%、4万円ということになります。もし土地だけでなく建物も相続する場合には、それも同じ税率で計算した税金がかかります。

すなわち、税額を知るためには、土地と建物の固定資産評価額がいくらなのかを知らなくてはなりません。

固定資産評価額は市役所の窓口で申請すれば、証明書を発行してもらえます。申請にあたっては以下の書類が必要となります。

  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
  • 相続関係を示す書類(戸籍謄本、遺産分割協議書など)

発行には手数料がかかります。自治体によって違いますが、1件300〜400円です。

なお、売買や贈与による所有権移転登記は、2.0%の税率となります。ですから、相続の際に誰かがまとめて支払って「贈与」とみなされないように注意をしなくてはならないのです。

土地の相続にかかる税金の節税対策

相続税は少しでも減らしたいと、誰もが思うでしょう。ではどうすれば節税できるのか、それは生前に財産を減らしておくことです。引き継ぐ財産は土地だけではないと思いますので、土地以外の財産を減らしておくことで、課税対象となる資産を少なくすることができます。

生前贈与で財産を減らす

贈与税は、年間110万円の控除がありますので、預貯金を少しずつ子供や孫に贈与しておきます。ただし、同じ人に毎年同じ金額を贈与していると「定期贈与」とみなされ、将来的に高額な相続税がかかる恐れがあります。

ですので、贈与する際には同じ金額を同じ時期に送るのではなく、不定期に、金額も変えることをおすすめします。

小規模宅地等の特例を利用する

相続する土地は、建物とセットになっていることが多いため、相続税が支払えないことで家を手放さなくてはならなくなる事態を避けるための特例措置です。

事業用の宅地なのか居住用の宅地なのかで条件が若干違いますが、ここでは宅地用の土地について説明します。

  • 配偶者が相続する
  • 同居していた親族が相続し、申告期限まで引き続き居住する

(同居していない親族が相続したときの条件もあり)

などの条件を満たしていると、330m2まで80%が減額されます。もし5,000万円の評価額なら、1,000万円になるということです。

まとめ:土地の相続にかかる税金は意外とかからない

相続税はいくらになるんだろう?払えるのだろうか?と不安な人が多いと思いますが、基礎控除もありますし、実際に相続税を払うことになる人は1割にも満たないのが現状です。

また、支払う際にも控除がありますし、配偶者には特例がありますので、よほどの資産家でない限り相続税の支払いができないからと土地を売るハメになる人はいないでしょう。

生前贈与を利用したり、小規模宅地等の特例による節税効果も見込めます。納税額がゼロになったとしても申告はしなくてはなりませんが、相続税の支払いはあまり心配しなくてよさそうです。

登記を移転すれば登録免許税はかかりますが、税率も低いので、こちらも払える範囲でしょう。不明な点は、早めに税理士などに相談して見込み額を出しておくと安心です。

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