賃貸併用住宅は中古で調達?新築との違いやメリット・デメリット
賃貸マンション
2022年6月3日
老後の資金確保や土地の有効活用のため、自宅を賃貸併用住宅にしたいと考える方が増えています。
賃貸併用住宅を手に入れるには、新築するほかに中古で調達するという選択肢もあります。
中古で調達すれば資金も少なく済みそうですが、新築と比べて何らかのデメリットもあるのでは?と心配ですよね。決めるには、メリット・デメリットを総合的に見て判断したいものです。
この記事では、賃貸併用住宅を中古で調達したいと考えた場合にどんなメリット・デメリットが存在するのかを見ていきます。中古で賃貸併用住宅を調達し運営に成功するためのポイントもお伝えするので、ぜひ読んでみてください。
目次
中古の賃貸併用住宅を調達する方法
一口に「中古の賃貸併用住宅」といっても、その入手方法には主に次の3つがあります。
- 賃貸併用住宅の中古物件を探す
- 中古物件を賃貸併用住宅にリノベーションする
- 二世帯住宅を賃貸併用住宅にリノベーションする
1つは、すでに賃貸併用住宅として使われ、売り出された物件を購入すること。入居者がいる状態と入居者がいない状態との2つのパターンがあります。入居者がいる状態の物件は「オーナーチェンジ物件」と呼ばれています。
2つ目は、中古の物件を購入し、賃貸併用住宅としてリノベーションする方法です。アパートやビルなどを有効活用します。
3つ目は、二世帯住宅の中古物件を購入し、賃貸併用住宅にリノベーションすることです。1階と2階で住む世帯が分かれる上下分割型(横割り型)が多いですが、左右に分かれているタイプの二世帯住宅もあります。
賃貸併用住宅を中古で調達する3つのメリット
中古で賃貸併用住宅を調達することには、主に次の3つのメリットがあります。
- 新築より安く入手できる
- ローン返済の負担が減らせる
- オーナーチェンジ物件ならすぐに家賃収入が得られる
それぞれ具体的に見ていきましょう。
新築よりも安く入手することができる
賃貸併用住宅を中古で調達する最大のメリットは、やはり新築するより安い値段で手に入れられることです。
とはいえ、購入した物件そのままでは賃貸併用住宅として利用できず、リノベーションが必要なことも多いもの。修繕費用などはかかりますが、それでも新築よりは低コストで済むはずです。
ローン返済の負担が減らせる
入手価格が低く抑えられれば、銀行から借り入れる金額も安く済みます。
そうなれば、月々のローンの返済額も新築より安くできたり、短期間で返済できたりするでしょう。生活への負担も少なく、精神的な負担も軽くできます。
オーナーチェンジ物件ならすぐに家賃収入が得られる
すでに入居者がいる賃貸併用住宅であれば、自分たちもすぐに入居できます。満室であれば入居者を探す手間も必要ありません。それどころか、家賃収入がすぐに得られます。
すべての部屋をリフォームして入居者を募集して…という手間がかからないのは大きなメリットです。
賃貸併用住宅を中古で調達する3つのデメリット
メリットがある一方で、中古の賃貸併用住宅には次のようなデメリットもあります。
- 物件がなかなか出回らない
- 間取りやデザインを自分で決められない
- リノベーション費用が高くつく可能性がある
それぞれ見ていきましょう。
物件がなかなか出回らない
賃貸併用住宅は、そのまま利用できる中古物件としては見つかりにくいのが現状です。
そもそも物件としてそこまで多いわけでもなく、経営が上手くいっていて、持ち主も健在であれば売る必要性もないからです。自分が探しているときにちょうど良い物件が売りに出される、というのはなかなか難しいかもしれません。
間取りやデザインを自分で決められない
中古物件といえばすでに完成されたものであり、間取りやデザインなどは多少リフォームができたとしても、大きく変えることはできません。
せっかくだから自分たちの理想に叶う賃貸併用住宅を作り上げたい、と思う人には、面白味ややりがいがないと感じられてしまうでしょう。
リノベーション費用が高くつく可能性がある
中古なら新築より安い費用で手に入れられるのは確実ですが、リノベーションが必要なケースがほとんどです。
元の物件の状態によっては、基礎など建物の重要な部分に修繕が必要だったりして、リノベーションに多額の費用がかかることも。
場合によっては、新築にした方がメリットが大きかった、というケースも考えられます。
物件探しは慎重に行い、「やっと見つかった希少な物件だから」「安いから」と安易に決めてしまわないようにしてください。
中古の賃貸併用住宅の経営成功ポイント
中古の賃貸併用住宅にはデメリットもあるものの、低コストで手に入れられるのはやはり大きな魅力ですよね。
中古物件を利用して健全な経営をしていくには、物件探しやリノベーションにおいて次のようなポイントに注意する必要があります。
- 立地条件を安易に妥協しない
- 間取りも重視する
- 防音対策を万全にする
- 修繕・リノベーションにかかる費用対効果を考える
- オーナーチェンジの場合は、トラブルの有無も確認する
それぞれ具体的に説明していきます。
立地条件を安易に妥協しない
中古の賃貸併用住宅は出回る数が少ないことから、希望通りの物件がなかなか見つからない可能性も高いです。
しかし、だからといって妥協は禁物。特に立地条件は、入居希望者の数に大きく影響します。アクセスの良さや周囲の環境はもちろんのこと、将来的に、例えば開発計画や建設計画などがないかも調べておきたいところです。
間取りも重視する
すでにある建物を利用するなら、間取りも決まっていて、大きく変えることは不可能でしょう。そのため、候補となる物件がどのような間取りになっているかも重要なポイントです。
大学が周りにある立地ならワンルームが最適ですし、戸数を多くして収益性を高めることもできます。しかし、周囲の環境によってはファミリー層向けの間取りの方が向いているかもしれません。
自宅部分と賃貸部分とをしっかりと区別し、入居者のプライバシーに配慮することも重要なポイントとなるでしょう。どのような入居者を迎えたいのか、ターゲット層を絞って最適な間取りは何かを考えてみてください。
防音対策を万全にする
賃貸併用住宅に限ったことではありませんが、集合住宅のトラブルといえばやはり「騒音」です。上の階や隣の部屋の音に敏感になる人は多く、「ご近所づきあい」のない現代では特にデリケートな問題です。
入居者に対して審査を行うことも1つの手ですが、それでも人が生活する限り騒音は発生するもの。防音対策は万全にしておく必要があります。
木造や鉄骨造など、物件の構造によっても遮音性は異なるので、構造にも注意してみてください。
修繕・リノベーションにかかる費用対効果を考える
中古の賃貸併用住宅を探す最大のメリットは、安いコストで手に入れられることです。とはいえ、中古物件でもリフォームやリノベーションは必須となるケースがほとんどでしょう。
しかし、いろいろな希望をすべて叶えようとすると、結局は高額な費用がかかり、新築の方がメリットが大きかった、ということにもなりかねません。また、古い建物などでは構造的なところからの修繕が必要となることも。
リノベーションなどに必要な費用と、得られるであろう収益のバランスを考えて、中古にこだわりすぎず探すことをおすすめします。
オーナーチェンジの場合は、入居者とのトラブルの有無も確認する
中古の賃貸併用住宅でもっとも早く収益を上げられるのは、すでに入居者がいる物件を引き継ぐ形となるオーナーチェンジ物件です。リフォームなどの必要がないため費用もそれだけ安く済みますし、それまでの実績から運用計画も立てやすいメリットがあります。
しかし、新たに入居者を迎える場合と異なり、どんな人かを審査して契約することができません。そのため、いわゆるクレーマーやトラブルメーカーとなる人物がいないとも言い切れません。
前のオーナーに話を聞ければベストですが、せめて前のオーナーがその物件を売りに出した理由を聞いておきたいところです。
中古の賃貸併用住宅は慎重に選びましょう
賃貸併用住宅の経営をスタートさせるには、新築で賃貸併用住宅を用意するだけでなく、中古物件を利用する方法もあります。
中古の賃貸併用住宅を購入する、中古の集合物件をリノベーションする、中古の二世帯住宅をリノベーションする、といった大きく3つの方法が考えられます。
ただし、中古の賃貸併用住宅の利用には、費用面のメリットが大きいものの、理想通りの物件を見つけるのは難しいなどのデメリットもあります。
これから長く付き合っていく物件ですので、下調べは念入りにしてなるべくリスクやデメリットを軽減できるようにしておきたいものです。