賃貸併用住宅の構造はどうすべき?木造など3つの構造を比較します

賃貸併用住宅

2022年6月2日

賃貸併用住宅を建てるとしたら、木造や鉄骨など、構造は何にすればいいのでしょうか。せっかく建てるのですから、後悔しないように決めたいものです。

住宅の構造には複数の種類がありますが、どの構造を選ぶとしても何らかのメリット・デメリットがあります。そのため、メリット・デメリットを理解した上で最も目的に合った構造を選び、デメリットを補う工夫をしていくのがベストな方法です。

この記事では、賃貸併用住宅の主な構造を紹介し、それぞれのメリット・デメリットも見ていきます。気になる地震と構造の関係や、構造を選ぶ際のポイントについても解説するので、ぜひ参考にしてください。

賃貸併用住宅の構造は大きく分けて3種類

賃貸併用住宅にも用いられる住宅の構造には、大きく次の3つの種類があります。

  • 木造(W造)
  • 鉄骨造(S造)
  • 鉄筋コンクリート造(RC造)

建築物の構造にはもう1つ「鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)」というのもありますが、こちらは大型施設や超高層ビルなどに使われるものです。

では木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造について、それぞれどんなものか大まかな特徴を見ていきましょう。

木造住宅の特徴

木造住宅とは、柱や梁(はり)など建物を支える重要な部分に木材が使われている住宅をいいます。木材の英訳(wood)から「W造」とも呼ばれます。

木造住宅の中でも、その建て方には日本古来の軸組み工法と、北米から伝わった枠組み壁工法の2種類があります。

工法特徴
木造軸組工法 (もくぞうじくぐみこうほう) 土台に柱を立て、梁を横にわたして組み上げていく
木造枠組壁工法 (ツーバイフォー工法) 木材で作った枠組みに面となる材料を接合したパネルを組み立てていく

木造軸組工法にはさらに、木材の接合部分に金具を用いる「在来工法」と、金具を用いない「伝統工法」の2つの工法があります。

鉄骨造住宅の特徴

鉄骨造住宅とは、柱や梁などに鉄骨を使った住宅のこと。鉄(steel)から「S造」とも呼ばれます。

鉄骨造住宅も、用いる鉄骨の重さ(厚み)によって大きく2つの種類に分けられます。

構造の種別特徴
重量鉄骨造 ・厚さ6mm以上の鉄骨を使う ・広い空間が可能、高い建物向け
軽量鉄骨造 ・厚さ6mm未満の鉄骨を使う ・狭い土地でも工事が可能

戸建て住宅やアパートなどに多いのは、軽量鉄骨の方です。工場である程度の組み立てを行うため工期が短く済む「プレハブ工法」も、軽量鉄骨を用いて作られています。

鉄筋コンクリート造住宅の特徴

鉄筋コンクリート造住宅は、柱や梁などに鉄骨を使い、コンクリートで補強して作られた住宅のこと。英訳(Rainforced Concrete Construction)を省略した「RC造」とも呼ばれます。

引っ張る力に強い鉄筋と圧縮に強いコンクリートを組み合わせることで、より強度を上げた構造となっています。

鉄筋コンクリート造には、さらに次の2つの構造のものがあります。

構造の種別特徴
ラーメン構造 ・垂直の柱と水平の梁で長方形のフレームを作り、建物を支える構造 ・間取りの変更もしやすい
壁式構造 ・床と天井、4方向の壁の計6枚の「面」で空間を作る構造 ・ラーメン構造より耐震性が高い

これらは鉄筋コンクリート造に限った構造ではなく、上で紹介した鉄骨造もラーメン構造といえます。壁式構造は、面で構成されるため室内がスッキリとした空間にできますが、間取りの変更は難しくなります。

木造を選ぶメリット・デメリット

憧れを持つ人も多い「木の家」。木造住宅のメリット・デメリットにはそれぞれどんなことがあるのでしょうか。まずはメリットから見ておきましょう。

木造住宅のメリット

木造住宅のメリットは、主に次の4つです。

  • 建築費が安い
  • 外気温に影響されにくい
  • あたたかみがある
  • 環境に優しい

木造住宅の最大のメリットは、建築にかかる費用が安く抑えられることです。鉄筋造などに比べて重量が軽いため、建物の基礎工事にもそれほどコストがかかりません。

木材は断熱性が高いのも特徴です。外の熱に影響されにくい、つまり夏の暑さや冬の寒さが部屋の中まで影響しにくいのです。

見た目にもあたたかみがあり、新築時は特に木の良い香りに癒されるでしょう。二酸化炭素を吸収した木材を使うことは、地球温暖化にも一役買っていると言えます。

木造住宅のデメリット

メリットも大きい一方、木造住宅には次のようなデメリットもあります。

  • シロアリ被害のリスクがある
  • 耐久性が低い
  • 遮音性が低い

木造住宅では、シロアリが発生するリスクは避けられません。あらかじめ木材に防蟻加工を施したものを使ったり、定期的に点検してもらったりするにはコストもかかります。

また、自然の素材のためゆがんだり腐食したりしやすいこともデメリットの1つ。これも、湿度や雨の多い日本で避けることは難しい問題です。そのため、メンテナンスに気を使う必要があります。

気になる騒音についても、木造は他の構造に比べて壁が薄い傾向にあり、音も聞こえやすいというデメリットがあります。

鉄骨造を選ぶメリット・デメリット

シャープで強いイメージのある「鉄骨造」。そのメリット・デメリットを見ていきましょう。

鉄骨造住宅のメリット

鉄骨造住宅には、主に次の4つのメリットがあります。

  • 強度が高い
  • 柱や壁を少なくできる
  • 短い工期で建てられる
  • 品質の差が生まれにくい

最も大きなメリットは、やはり木造に比べて強度が高いことです。シロアリなど害虫被害の心配もほぼありません。骨組みが頑丈なので多くの柱を必要とせず、広い空間も作りやすい特徴があります。

また、鉄骨の質は木材のように個体差が少ないのもメリットと言えるでしょう。木組みのように高度な職人の技を必要としないので、一定の品質を保てます。

工場である程度の加工が可能なので、工期が短く済むメリットもあります。

鉄骨造住宅のデメリット

一方で、鉄骨造住宅には次のようなデメリットも存在します。

  • 外気温が伝わりやすい
  • 結露やサビのリスクがある
  • 鉄骨自体は火に弱い

鉄骨造は気温の影響を受けやすく、夏の暑さや冬の寒さが部屋の中にも伝わりやすいというデメリットがあります。そのため、断熱材などの使用は欠かせません。

また、湿度の調整がしにくいため結露がしやすく、しかも内部結露といって外壁の中や床下など、見えないところに結露が発生するリスクも高いです。

鉄には火に強いイメージもありますが、燃えにくいものの急に強度が下がるという特徴があります。鉄骨の耐火性を高めるには、屋根や外壁、天井や床に耐火性の高い素材を選ぶ必要があり、その分コストもかかるでしょう。

鉄筋コンクリート造を選ぶメリット・デメリット

鉄筋コンクリート造には「頑丈な建物」というイメージがあります。どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

鉄筋コンクリート造住宅のメリット

鉄筋コンクリート造のメリットは、次のような点です。

  • 強度が高い
  • 遮音性・気密性が高い
  • 耐火性にも優れている
  • デザイン性が高い

鉄筋コンクリートは、前述のように鉄骨をコンクリートで固めて補強したもの。そのため、鉄筋造よりもさらに強度が高いことが最大のメリットです。

コンクリ―トは密度が高く、厚さが増すほど遮音性が高くなるので、騒音トラブルのリスクも他の構造より低いと言えます。鉄筋だけでは弱い耐火性も、コンクリートのおかげで燃えにくさが加わります。

見た目のデザイン性も高くモダンな印象になるので、幅広い年代の人に人気があります。

鉄筋コンクリート造住宅のデメリット

鉄筋コンクリート造の住宅には、鉄筋造と同様のデメリットもあります。

  • 外気温の影響を受けやすい
  • 結露やサビのリスクもある
  • 地盤の強化にコストがかかる

鉄もコンクリートも、熱を伝えやすいという特徴を持っています。そのため、鉄筋コンクリート造の住宅も、夏の暑さや冬の寒さが室内にダイレクトに伝わりやすいです。

また、鉄骨造と同じくサビに弱いこと、隙間がなく気密性が高いために結露が生じやすいことも鉄筋コンクリート造のデメリット。対策にコストがかかるのは避けられないでしょう。

重量がある分、支える地盤も強くなければなりません。地盤が弱い土地に建てる場合には、基礎工事にかかるコストも高くなる恐れがあります。

ただ、構造だけで見ればメリット・デメリットとなることでも、たとえば壁などに使う素材や外断熱などの工法などによって、そのデメリットを克服する方法もあります。

どのような家にしたいのかを明確にイメージして、メーカーに相談することをおすすめします。

地震の揺れに強いのはどんな構造か

ところで、地震大国であるこの日本だからこそ、地震に強い構造を選びたいと思いますよね。どれが最も地震に強いのかも気になるところです。

たとえば木造には、地震に弱いというイメージもあるでしょう。しかし、地震の揺れに強いかどうかは、どの構造であっても大きな差はありません。現在では、どんな構造でも同等の耐震性を確保できる工夫がなされているからです。

どんな構造かよりも、耐震性の強さを示すポイントとなるのは次のような点です。

  • 住宅の基礎がしっかりしていること
  • 正方形や長方形など形がシンプルであること
  • 柱や壁で支える部分が多いこと

重要なのは、まずは土台部分がしっかりしていることです。基礎部分がしっかりしていなければ、地震の被害も大きく受けてしまいます。

また、建物の形は凸凹のないシンプルな四角形の方が、地震でかかる力がバランスよく分散されるため揺れに強いです。

吹き抜けがあったり一部屋が大きかったりする家は、見た目のオシャレさという面では魅力的。しかし地震の揺れに対しては、空間の広さがマイナスとなるので注意が必要です。

賃貸併用住宅の構造を決めるポイント

最後に、賃貸併用住宅の構造を何に決めるか、考えておくべきポイントを見ておきましょう。

どんな場所に建てるか

建てる場所の特徴に応じて構造を決めることで、より住みやすい住環境を作ることができます。 たとえば交通量の多い道路沿い、近隣に学校があるなど、外の音が気になる場所に建てる場合。こういった場合には、遮音性が高い鉄筋コンクリート造が最適でしょう。

土地面積が小さかったり、道幅が狭かったり、住宅密集地だったりする場合には、重機が入るか、足場が組めるか、など、工事の可否も問題になります。それにより構造が限られるケースもあるので、メーカーに見てもらうことをおすすめします。

何階建てにするか

何階建てにしたいかというのも、構造に関係してきます。

特に木造の場合は、階数は1〜2階とするのが一般的。木造3〜4階建てというのも可能ではありますが、3階建て以上の共同住宅の場合、建築基準法による耐火要件を満たす必要が出てきます。

そうなれば、補強のために木材を別の材料で覆う必要がある可能性も。また、建物の安全性を確認するための構造計算なども必要になります。コストや完成までの期間を考えれば、鉄骨や鉄筋コンクリート造にした方がよいかもしれません。

部屋をどんな人に貸したいか

賃貸併用住宅では、自分が住む建物に多数の人を迎え入れることになります。どんな人に入居してもらいたいかは、構造を決める際にも考えておきたいポイントです。

例えば、小さな子どものいる家庭を歓迎するなら、遮音性の高い鉄筋コンクリート造がよいでしょう。都会的な高級感を求める富裕層の人にも、デザイン性の高い鉄筋コンクリート造が向いていると言えます。

高齢化社会を見据え、高齢で高い家賃が払えない人を迎え入れたいということであれば、木造が最有力候補となるでしょう。木造であれば、建築費が比較的安く済むことから家賃も低く抑えることが可能です。

賃貸併用住宅は構造も熟考すべき

賃貸併用住宅は、自分たちの生活だけでなく入居者の生活にも関わる建物。どんな構造にするかは、さまざまな視点で考えて決める必要があります。

構造には木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造と大きく分けて3種類あり、どれが一番だというずば抜けたものはありません。それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較し、どんな場所に建てるか、どんな入居者を迎えたいかなどの目的を掛け合わせて選んでください。

入居者となる人にとっても、どんな構造の家がいいのかをじっくり考えて選びます。入居者のことも考慮し、選ばれる賃貸併用住宅を作り上げましょう。

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