ZEHマンションとは?光熱費を削減できる省エネ設計住宅

マンション基礎知識

2022年12月28日

ZEH(ゼッチ)マンションという住宅をご存知でしょうか?あまり聞きなれない名前かもしれませんが、ここ数年で徐々に増えてきています。住宅で使用するエネルギーを限りなくゼロに近づけていこうというもので、経済産業省もその普及に力を入れています。

ZEHマンションは断熱性に優れ、夏は涼しく冬は暖かく、快適に過ごせるだけでなく、月々の光熱費を抑えることもできます。また、太陽光発電によって電気を得ることができれば、その分収益が増えることになります。

今後、ZEHマンションのような省エネ住宅が主流になっていくでしょう。ZEHマンションを建設する場合には補助金も申請できます。安定したマンション経営のためには補助金を利用したリフォームも検討していきましょう。

ZEH(ゼッチ)マンションとは

ZEHマンションのZEHは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略です。このNetとは正味という意味で、ネットのエネルギー量をゼロにしていこうという趣旨で名付けられたものです。

断熱性の高い家

実際に、消費するエネルギーをゼロにするのは難しいため、まず建物の断熱性を上げてエネルギー効率の良い住宅にします。その上で、太陽光発電などを利用してエネルギーを作り出し、エネルギー消費の収支をプラスマイナスゼロにしようというのがZEHマンションです。

環境に配慮しながら、冬は暖かく夏は涼しいという快適な家づくりを目指し、経済産業省も各種の政策に力を入れています。自社が施工する住宅の50%以上をZEH住宅とすることを公表したハウスメーカー等を「ZEHビルダー」としました。2022年3月現在、全国で約4,700社がZEHビルダーとして登録しています。

4つの分類

ZEHマンションは以下の4つの定義があり、それぞれ評価基準が違います。

  1. ZEH-M
  2. Nearly ZEH-M
  3. ZEH-M Ready
  4. ZEH-M Oriented

たとえば、ZEH-Mは1〜3階において一時エネルギー消費量の20%、再エネルギーを含めて100%減を目指します。ZEH-M Orientedは再エネルギーについての規定はなく、一次エネルギーの消費量20%が評価基準となっています。

ZEHマンションのメリット

ZEHマンションは、エネルギー効率が良く、自らもエネルギーを生み出すことのできる住宅です。大きなメリットとしては、このようなものがあります。

光熱費の削減

断熱性に優れた建物ですので、冷暖房の効率も良く、毎月の光熱費を大きく削減できます。また、太陽光発電により生み出したエネルギーを売ることによって、収入を得ることも可能です。

災害時にも電気に困らない

ZEHマンションは、自家発電した電気を貯めておくことができますので、地震や台風などの自然災害によって停電した時でも、蓄電池を利用すれば電気が使えます。

また、住宅によっては受水槽も備えており、ライフラインが止まってもしばらく生活できるようになっています。

1年中快適に過ごせる

断熱性に優れているため、夏は涼しく冬は暖かく過ごせます。1年中、快適な温度を維持できることから、室内の温度差も少ないのが特徴です。

たとえば、冬になると暖房をつけている部屋と浴室の温度差から、ヒートショックによる心臓麻痺などの事故が増えます。家全体を快適に温めることができれば、このような健康リスクを軽減することにもつながります。

住宅ローン控除の優遇措置がある

ZEHマンションとして認定されれば、住宅ローン控除にも優遇措置があります。通常の住宅ローン控除は借入残高が3,000万円までですが、ZEHマンションなら4,500万円までとなります。
(※2022年、2023年に入居した場合)

ZEHマンションのデメリット

いいことづくめに見えるZEHマンションですが、デメリットがないわけではありません。

コスト高で価格が高くなることがある

断熱性を高めるための設備や太陽光発電などを取り入れる必要があることから、一般的なマンションよりも工事費が割高になります。その分、マンションの価格自体も高くなってしまうでしょう。

ただ、今はまだZEHマンションの数が少ないためどうしてもコストがかかりがちですが、これからZEHマンションの供給が増えて住宅の主流となっていけば、コストも下がっていくと予想されています。

建設には補助金も利用できますから、一般的なマンションとの価格差は徐々に埋まっていくはずです。

屋根のデザイン等に制限がある

太陽光パネルをつけるには、屋根の形やデザイン、間取りが限られてしまう可能性があります。マンションの外観にもこだわりたいという場合に、自分の理想を取り入れることが難しいかもしれません。

賃貸マンションをZEHマンションにするメリット

ZEHマンションが環境に配慮した建物で、住んでいる人にもメリットが大きいということはお分かりいただけたと思います。

では、マンション経営という観点からはどのようなメリットがあるのか、経営者の視点から考えます。

家賃を高めに設定できる

同じような広さ、間取りのマンションと比べ、ZEHマンションであるということを理由に家賃を高めに設定できます。入居者は光熱費を節約できることから、少しくらい高めの家賃でも募集しやすいです。

他のマンションと差別化ができる

これからの人口減少に備え、空き室リスクを限りなく低くするためにも他のマンションとの差別化は必須です。

同じ住むなら、環境にも人に優しいマンションがいいと思う人は多いです。住み心地の良いZEHマンションは光熱費も抑えられるのですから、2人以上の世帯にはこれからますます人気が出ると予想されます。

ヒートショックの心配も少ないZEHマンションは高齢者にも優しい住宅です。ファミリー層だけでなくシニア層も住みやすい物件として入居者を募集しやすくなります。

電気を売って収益を上げられる

太陽光発電システムを備え、自ら発電する建物ですので、それぞれの部屋で使う以外に余った電気を売ることが可能です。電気を売って収入が増えれば経営もより安定します。

また、売電によって得た収益を入居者に還元することができれば、入居者にとっても大きなメリットとなります。これも、他のマンションとの差別化につながるでしょう。

マンションとしての資産価値を高められる

ZEH仕様のマンションはそれだけで建物としての価値があります。もしも将来売却することになったとしても、普通のマンションよりも高く売れるはずです。

補助金制度を利用するには不動産会社に相談

ZEHマンションは経済産業省が普及の促進に力を入れていることから、建築やリフォームに関して補助金を受けることが可能です。補助金の金額はZEHの種類よって変わりますが、たとえばZEHは1戸当たり定額55万円、ZEH+は100万円です。

申請の方法は個人で行うにはやや煩雑で難しいため、ハウスメーカーや不動産会社に依頼します。

まとめ:ZEHマンションで物件の資産価値を高めよう

ZEHマンションとは断熱性の高い建物で、省エネ効率を上げつつ、太陽光発電を利用して自らエネルギーを作り出し、エネルギーの収支をゼロにしようというものです。年間を通して快適に過ごせること、光熱費を節約できることから、入居者にとってメリットの大きい住宅です。

経済産業省が普及に力を入れており、建築やリフォームには補助金も出ます。住む人にも環境にも優しい住宅として、他の物件との差別化も図れますし、マンションの資産価値も高まります。家賃を高めに設定できるだけでなく、売却する際も有利になるでしょう。

これからは、ZEHマンションのような省エネ住宅が主流になっていきます。今後の人口減少に備えて、今から物件の資産価値を高めておくことはとても重要です。

新しくマンション経営を始める方はもちろん、現在経営している方も、ZEHマンションへの転換を検討してみてください。

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