家賃収入にかかる税金の種類と計算方法、確定申告の方法まとめ

マンション経営

2022年7月22日

アパートやマンション、店舗など賃貸経営を行って家賃収入が入るようになると、お給料と同じように税金がかかるようになりなります。

ただしお給料と違うのは、収入から天引きされるわけではないので自分で申告をして税金を納めないといけないということです。

家賃収入でローンを賄おうとしている人がほとんどだと思いますので、税金として納める分を考慮しておかないと経営で苦戦してしまう可能性があります。

そこで、家賃収入にはどのような税金がいくらくらいかかるのか、詳しく解説します。

家賃収入にかかる税金の種類は4つ

家賃収入には税金がかかります。おもに以下の4種類の税金がかかりますので、覚えておきましょう。

1.所得税

賃貸経営で利益が出るようになると、当然ですが所得税がかかります。家賃収入は事業所得ではなく、不動産所得になります。家賃収入から経費を除いたものが課税対象となります。

2.住民税

住民税は所得をもとに計算されますので、家賃収入を得られるようになると住民税もかかります。所得税が確定した後に計算され、家賃収入が発生した翌年に納めます。

3.固定資産税と都市計画税

固定資産税は土地・建物などの固定資産にかかる税金です。不動産だけでなく、工場の設備や事業用のパソコンなど動産にもかかります。

都市計画税は「市街地区域」に土地や建物を所有している場合にかかる税金です。住宅街や商業施設がある地域に物件を持っていれば対象となるでしょう。

4.消費税は物件の種類によって違う

消費税は、一般的に売り上げが1,000万円を超えると、その2年後に納める必要のある税金ですが、所有している物件が居住用の賃貸物件のみであれば対象外です。消費税の課税対象となるのは店舗などの事業用賃貸物件です。

事業用の賃貸物件で家賃収入が1,000万円を超えた場合は、税務署に課税事業者として届出をして、2年後に消費税を納めます。なお、もし2年後に家賃収入が1,000万円を下回ったとしても支払い義務を免れるわけではないことに注意が必要です。

家賃収入と不動産所得の考え方

居住用賃貸住宅の家賃収入は不動産所得になる説明しましたが、すべてが不動産所得となるわけではありません。「所得」とは必要経費を除いたものであり、家賃を得るためにかかった費用については、差し引くことができるのです。

家賃以外に収入に含まれるもの

家賃以外にも、収入として合算されるものがあります。

  • 管理費
  • 共益費
  • 礼金
  • 更新料
  • 駐車場代

なども収入に含まれます。

家賃が滞納だった場合の取り扱い

賃貸経営をしていると、たまに家賃を滞納する人が出てきます。本来であれば収入になるはずのものが入ってこない時は、家賃収入として計上しなくても良いのでしょうか?

残念ながら、滞納されたとしても家賃収入として計上しなくてはなりません。家賃は支払日が決まっているため、その日にいったん収入があったとして計算するのです。管理費や共益費も同様です。

そのかわりといってはなんですが、すでに家賃として計上していますので、実際に入金された時には収入に入れなくてもOKです。万が一回収できなかった場合には、損失として計上することができます。

経費として計上できるもの

「収入ー経費」が所得となりますが、賃貸経営の経費には以下のようなものが挙げられます。

  • 管理会社への委託費
  • 入居者募集の広告費
  • 仲介手数料
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険料・自身保険料
  • 税理士、司法書士への報酬
  • 修繕費
  • ローンの利息
  • 減価償却費
  • 交際費
  • 交通費

不動産会社や管理会社との打ち合わせにかかる費用などは交際費として計上が可能ですが、過度な計上は税務調査の対象となる恐れがあります。節度を持った経費の計上に努めましょう。

家賃収入にかかる税金の計算方法

およそどのくらいの税金がかかるのか、計算例をもとに説明します。

課税所得額の計算方法

先ほども説明した通り、家賃収入全てが所得となるわけではありません。家賃や管理費など収入を全て合算し、そこから経費を引いたものが「所得」となります。副業として賃貸経営をしている人は、会社員のお給料など他の収入も全て合算してください。

所得税額の計算方法

所得税は累進課税制度により、金額が大きくなるほど税率も上がる仕組みになっています。税率は5%〜45%まで幅があり、課税対象額に応じて7段階にわかれています。所得税は以下の計算式で算出します。

所得税額=課税所得×税率-課税控除額

<計算例>

  • 家賃収入:1,000万円
  • 管理費:100万円
  • 駐車場代:50万円
  • 管理費:100万円
  • 修繕費:100万円
  • ローンの利息:50万円
  • 減価償却費:100万円

収入1,150万円ー経費350万円=800万円が課税所得となります。800万円は税率23%、控除額が636,000円なので、

800万円×23%ー636,000円=1,204,000円

となります。税率と控除額は国税庁のホームページで確認できます。

住民税の計算方法

住民税は前年の所得をもとに計算され、翌年支払うものです。たとえば昨年は満室で順調に収入を伸ばしたけれど、今年は空室が出てしまって思うように収入が伸びないというときでも、前年の家賃収入をもとに計算されるので、思いのほか支払いがキツくなることがあります。

住民税の計算方法は自治体によって違うものの、「所得割額」「均等割額」の合計額となることは同じです。

<所得割>
課税所得×10%ー所得控除額

<均等割>
所得額にかかわらず、住民全体で負担するもの。市町村民税3,500円、道府県民税1,500円の合計5,000円の定額。

所得控除の種類は以下のようなものがあります。

  • 基礎控除
  • 配偶者控除
  • 扶養控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除

家賃収入を得たら確定申告が必要!

家賃収入にかかる税金は、会社員のお給料のように天引きしてもらえるわけではないので、確定申告が必要です。

20万円以上の収入は確定申告

家賃収入が20万円を超えたら、必ず確定申告をしなくてはなりません。つまり、20万円を超えなければしなくても良いということです。

確定申告だからこそできる損益計算

たとえば、思ったほど家賃収入が伸びず、むしろ経費の方がかかってしまったということもあると思います。しかしその場合でも、確定申告することをおすすめします。

確定申告をすれば赤字を計上し、損益通算ができるからです。給与所得にと家賃収入の赤字を合算することで、給与所得で支払った所得税を還付してもらえます。

減価償却費の計上できる

減価償却費とは、時間の経過とともに価値が減っていくものについて、その費用を分割して経費計上できるものです。たとえば木造アパートの場合は法廷耐用年数が22年となっているため、22年にわたって計上できるということです。

家賃収入だけ見れば黒字でも、減価償却費を計上すると赤字になる場合は少なくなく、所得税の圧縮効果が期待できますので、たとえ収入が少なくても確定申告はすべきです。

家賃収入の節税対策3つのポイント

だれでも、税金の支払いはできるだけ少なくしたいと思うものです。どうすれば節税できるか、基本的な3つの方法について説明します。

1.経費をもれなく計上できるようにすること

賃貸経営には様々な経費がかかります。それらをもれなく計上しましょう。もちろん、過度な計上は禁物ですが、固定資産税くらいしか経費として考えていない人が多く、とてももったいないです。

減価償却費はもちろん、ローンの利息、管理会社や不動産会社の担当者との飲食、その場所に行くまでの交通費など細かいお金ももらさないようにすることです。

2.青色申告にする

確定申告の方法は、青色申告と白色申告がありますが、節税対策を考えたら青色申告一択です。最大65万円の控除が受けられるからです。

ただし、

  • 5棟または10室以上の物件を所有していること
  • 発生主義で帳簿をつけること(現金主義はNG)

青色申告は帳簿の付け方が難しいと思われていますが、最近は収支を入力するだけで自動的に各種帳簿を自動作成してくれる会計ソフトが充実しています。簿記がわからない人でも問題なく確定申告ができます。

3.e-Taxで申告すること

さらに、青色申告で65万円の控除を受けるためにはe-Taxで確定申告を行う必要があります。これまでのように書面で手続きを行うと、控除額が55万円まで減額されてしまうので、もったいないです。

マイナンバーカードやICカードリーダーなどを準備し、e-Taxで申告しましょう。

まとめ:家賃収入の税金は経費計上で節税が可能

賃貸経営で家賃収入を得られるようになったら、税金がかかります。給料のように源泉徴収されないため確定申告が必要となりますが、原則として20万円を超えた場合に申告し、納税します。

家賃収入には、管理費や共益費、駐車場代などその他の収入も含みます。他に仕事をしていればその報酬ももちろん収入です。そこから固定資産税やローンの利息、管理会社への委託費など経費を引いたものが課税所得となります。

節税するためには、各種経費を漏らさず計上すること、青色申告を利用することです。経費を計上した結果赤字になったとしても、損益計算ができますので必ず確定申告してください。

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