賃貸マンション経営で知っておくべき立ち退き交渉のコツ

マンション経営

2023年1月24日

賃貸マンションを経営していると、いずれは建て替えの問題が出てきます。建て替えをするとなると、今住んでいる人たちに引っ越しをしてもらわなくてはなりません。

しかし、立ち退きを要求するには正当な自由が必要です。家主の都合で立ち退きをお願いすることはできないのです。

そこで、立ち退きを要求するのに十分な理由がない時には、立ち退き料を支払って解決することもあります。

今回は、どのような場合に立ち退き料が必要となるのか、立ち退き料の相場、また、立ち退きで住民とトラブルにならないよう、交渉の注意点などについてまとめました。

いずれ建て替えを検討しているという方は、ぜひ参考にしてください。

賃貸マンションで立退を要求できる正当な自由

日本の法律では、家主よりも借主の方が手厚く保護されています。賃貸契約についても、正当な事由がなければ家主側から解約を申し入れることはできません。

正当な事由とは、以下のようなものです。

  • 建物が老朽化し強度が不安
  • 家主がその物件を使用しなければならない理由がある

などです。

たとえば建物が古く、地震等によって倒壊する恐れがあるため、耐震性を強化する工事が必要で立ち退きをしてもらう場合などは、正当な事由として認められます。

しかし、古くなってきたので空き室が目立ち、一度建て替えて人気のあるデザインのマンションにしたい、という理由では、正当な事由とは認められません。

賃貸マンション立ち退きの交渉材料となる立ち退き料

では、正当な自由がないと一切立ち退きを要求できないのかというと、そうではありません。そのための交渉材料となるのが立ち退き料です。立ち退きしてもらうにあたり、借主には引っ越し費用などがかかりますから、その分を補填することを条件に立ち退きをお願いするのです。

立ち退き料の相場

立ち退き料は法的な支払い義務があるお金ではないので、金額は決まっていませんが、相場は家賃の6ヶ月分というのが一般的です。家賃が10万円なら60万円程度が相場です。しかしここは交渉次第ですから、もっと少なくすることも可能ですし、逆に交渉がこじれてしまうとさらに上乗せしないといけないケースも出てくるでしょう。

中には、ごねて立ち退き料を吊り上げようとする人もいます。できるだけ安く抑えるには、日頃から入居者との良い関係を作っておくということも大切です。

立ち退き料の内訳

どのような費用が含まれているのか、その内訳はこのようなものです。

  • 引っ越し代
  • 新居の敷金・礼金などの初期費用
  • 仲介手数料
  • これまでの家賃と移転先の家賃の差額

などがあります。

立ち退き料の相場は家賃の6ヶ月分といいましたが、あくまでも相場です。引っ越しにかかる費用の内訳がわかれば、その合計を提示すれば良いわけです。同じくらいの家賃の物件に引っ越すとしたらどのくらいの費用がかかるのかを算出してみましょう。

借主とすれば、いきなり引っ越して欲しいと言われたら断りたくもなるものです。しかし、立ち退き料の支払いがあり、新しい物件に引っ越すのに不足のない金額だということを理解してもらえれば、スムーズに交渉を進められる可能性が高くなります。

正当な自由でも立ち退き料が必要になることも

正当な自由だと認められたとしても立ち退き料が一切不要かというとそうではなく、これまで裁判担った事例を見ますと、正当な自由であったとしても立ち退き料の支払いを命じる判決が多いです。

中には立ち退き料なしとなった判決もありますが、必要になるケースの方が多いです。立ち退きをお願いするにあたっては、どうのような理由でも立ち退き料が必要になると思っておいた方が良いでしょう。

賃貸マンションにおける立ち退きの流れ

書類を渡す様子

賃貸マンションで立ち退きをお願いするには、このようにして交渉を進めます。

  • 契約期間満了の1年〜6ヶ月前までに書面で立ち退きの件を伝える
  • 説明会、個別に口頭などで丁寧に経緯を説明する
  • 立ち退き料の交渉を行う
  • 契約解除→立ち退き

1年〜6ヶ月前までに書面で伝える

立ち退きの件に伝えるのは早ければ早いほど良いですが、最低でも契約期間満了の1年〜6ヶ月前までに伝えなければなりません。

これは法令で決められている期間ですので、この間に立ち退きについて伝えておかないと、契約更新しないということができなくなります。

いきなり、「来月から工事を始めるので立ち退きしてください」とお願いすることはできないということです。

また、あとで言った、言わないという話にならないよう、しっかりと書面で伝えましょう。

丁寧に説明する

立ち退きをスムーズに進めるために、最も重要な部分です。説明会を開いて概要を話し、あとは個別に交渉を進めるか、最初から個別に話をするか、そこは入居者の人数にもよっても変わってきます。

スムーズに話が進めば、立ち退き料を払わなくて済むケースもあります。

立ち退き料の交渉を行う

立ち退きに同意をしてくれたら、具体的な立ち退き料の交渉に入ります。家賃の6ヶ月分を目安として、引っ越しに支障のない金額を提示しましょう。

その金額を提示した根拠(内訳)を説明できるようにしておくと、金額に不満を持たれた時でも説得しやすいです。

賃貸マンション経営で立退トラブルを防ぐために注意すること

借主の家に訪問するマンションオーナー

立ち退き料は法的な支払い義務のあるお金ではないので、あくまでも交渉材料として提示するものです。

交渉がこじれてしまうと立ち退きしてもらえなくなる可能性もあります。トラブルにならないよう、以下のポイントに注意をして交渉を進めましょう。

立ち退きスケジュールは余裕を持って組むこと

借主にも日々の生活がありますから、いきなり立ち退きしてほしいと言われると、時期によってはすぐに動けない可能性もあります。

法令上は6ヶ月前までに伝えれば問題はありませんが、準備期間にはできるだけ余裕があった方が良いです。

半年よりも1年あった方が、交渉も進めやすくなるでしょう。

立ち退きの理由を真摯に説明すること

話し合いをスムーズに進めるためには、なぜ立ち退きをしなくてはならないのか、その理由を真摯に説明することがとても大切です。古くなったから建て替える、立ち退き料は払います、といえば納得してくれるわけではありません。

お金の問題もありますが、また新たに物件を探す手間がかかります。同じような条件の物件が見つかるとは限らないので、仕事や学校の合間に物件探しをする労力もバカになりません。抵抗したくなる気持ちも理解しないといけないでしょう。

そのうえで、どうしても立ち退きをしてもらわなくてはならない理由を丁寧に説明してください。強引に話を推し進めることだけは避けましょう。

立ち退き料を節約するコツ

少しでも立ち退き料を抑えるには、建て替えを決めたらすぐに新規の募集を停止することです。1部屋でも少ない方が立ち退き料はもちろん、交渉の手間も減らせます。

目安としては、入居者が半分以下になったところで交渉を始めると良いでしょう。

また、他に物件を所有している人は、その物件を紹介することも立ち退き料を安くする方法のひとつです。引っ越し費用はかかりますが、新たに見つける手間がなく、仲介手数料なども節約できるからです。

まとめ:賃貸マンションの立ち退きは丁寧に交渉するのがコツ

賃貸マンションを建て替えるときには、今いる住民に立ち退きをお願いしなくてはなりません。しかし、正当な自由がない限り一方的に契約解除を求めることはできないため、立ち退き料を払って交渉するのが一般的です。

立ち退き料の相場は家賃の6ヶ月分といわれますが、交渉次第では下げることも可能です。スムーズに交渉を進めるためにはできるだけ早くから話をし、立ち退きの理由を真摯に説明することが大切です。

新居を探さなくてはならないという相手の手間も考え、丁寧に交渉することで立ち退きトラブルは防げるでしょう。

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