サブリース契約とは?一括借り上げで安定収入を得る方法

マンション経営

2022年6月27日

アパート・賃貸マンション経営で最も怖いのは、空室が続くことです。空室が増えればその分収益も減ってしまいますので、常に満室の状態を維持したいものですが、それができれば誰も苦労はしません。

その空室リスクに対する対策として、サブリース契約というものがあります。サブリース契約は、不動産管理会社がアパート丸ごと借りてくれるので、常に「満室」の状態を維持できるのです。

家賃収入が保証されることから空室の不安を考えなくてもなりますが、一方で契約には注意して欲しい点もあります。

本当にサブリース契約で収益化できるのか、メリット・デメリットをよく考えて活用する必要があるのです。

サブリース契約とは3つある管理形態の一つ

土地活用でアパートを保有し、管理する方法は3つあります。

  1. オーナーが自ら管理する
  2. 管理会社に委託する
  3. サブリース契約を結ぶ

それぞれの方法について簡単に説明します。

全て自分で管理する自己管理

日々の管理業務をすべてオーナー自身が行う方法です。昔の「大家さん」のようなイメージで、掃除や入居者募集・対応なども自分でします。同じ物件に住んでいれば良いですが、自宅が別にある場合はアパートに通って管理業務を行わなくてはなりません。

自分で全て管理をするのは負担も大きく、国土交通省の「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(2019年)」によると、「業者に任せず、全て自ら管理している」と答えたオーナーは18.5%にとどまっています。

管理会社を利用する管理委託

アパートの管理業務は多岐にわたるため、管理会社に委託するのが一般的です。どの業務を委託するかは人それぞれで、上記の「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(2019年)」によると、このような割合で管理業務が委託されています。

  • 入居者募集から契約までを委託:25.5%
  • 入居者募集から契約、その他一部の管理業務を委託:25.9%
  • 全ての管理業務を委託:28.2%
  • 入居者募集はオーナーが行い、それ以外の業務を委託:1.9%

全てを委託しているオーナーが多いですが、お金をかけて全てを委託し自分は他の業務を行うか、多少の手間をかけても委託費用を節約するか、そこは経営者としての経験や、管理している物件の数によっても違ってきます。

一括借り上げのサブリース

通常、管理業務を委託したとしても、賃貸契約はオーナーと入居者がするものですが、サブリース契約では管理会社がアパート・賃貸マンションを一等丸ごと借りるため、管理会社とオーナーの契約になります。その後入居者を募集し、管理会社が入居者に又貸しする形で賃貸契約を結びます。

管理会社がアパート・マンションごと借りてくれるので、空室があろうとなかろうと賃料が保証されるのが特徴です。保証される賃料は家賃の8割程度ですが、空室のリスクをなくし、一定の家賃収入を確保できる委託の方法です。

賃料が保証される!サブリース契約のメリット

安定して家賃収入を確保したいと思っているオーナーにとっては、サブリース契約はとても大きなメリットがあります。

安定収入が期待できる

サブリース契約を結ぶと、満室時の8割〜9割程度の家賃が保証されます。空室が増えて家賃収入が減るという心配がありません。

満室になっている時は一般的な管理形態よりも家賃収入が減ってしまうわけですが、空室が増えたり、家賃を滞納されても一定額の家賃収入が確保できるという安心感があります。

管理の手間が不要

家賃を保証されるだけでなく、入居者募集から日々の管理業務まで全て管理会社がやってくれます。入居者のクレーム対応はもちろん、滞納の対応なども任せられるので、手間をかけずにアパート経営ができます。

入居時・退去時のコスト削減

入居者募集を管理会社に委託している場合、退去の際の原状回復費用を負担したり、入居者が決まったときには不動産会社に仲介料を支払ったりと、入居時・退去時それぞれに費用が発生します。

サブリース契約では一定額を管理会社が負担してくれるため、費用の面でもメリットが大きいです。

相続税対策にもなる

賃貸物件を相続する時は相続税が発生しますが、賃貸物件は自宅よりも資産価値が低くなるため相続税を抑えることができます。ただ、せっかくの賃貸物件でも空室率が高ければその恩恵が少なくなってしまいます。

サブリース契約にしておくと、たとえ空室があっても満室と同じ状態で相続税を計算してもらえるため、節税効果が高いのです。

確定申告が楽になる

家賃収入があれば当然確定申告をしなくてはなりませんが、通常の管理方法ですと毎月の家賃収入が一定ではありません。空室が出ればその分減りますし、部屋ごとに家賃が違う場合もあります。

その点、サブリース契約なら家賃は常に一定なので、申告が楽になります。

サブリース契約のデメリット

サブリース契約はいいことづくめのようにも思えますが、注意して欲しい点もいくつかあります。デメリットについてもよく理解してから契約を結ぶようにしてください。

利回りが低くなる

サブリース契約では、家賃が全額入ってくるわけではありません。契約の仕方によりますが、およそ8〜9割になるため、管理だけを委託するよりも収入が低くなります。ですから、常に満室が期待できる物件なら、かえって損をすることもあるということです。

ですから、空室リスクをとってでも収益性を重視したいという人には、サブリース契約は向いていません。

家賃保証の見直しで賃料が下がる

家賃保証は、実はずっと一定ではないのです。契約内容にもよりますが、一般的には2年ごとに家賃が見直され、その度に収益が下がっていくことが多いのです。そのせいで、「思ってたのと違う」とトラブルになることも。訴訟にまで発展することもあります。

免責期間は家賃保証が受けられない

サブリース契約には免責期間が設けられるのが一般的です。アパートを建てても直後に部屋が全て埋まるわけではなく、入居者を募集する期間などが必要であるため、一定期間は家賃を支払われない期間があります。これを免責期間といいます。

免責期間は通常数ヶ月程度ですが、この期間は家賃保証がないことを理解しておかないといけません。

入居者が選べない・わからない

サブリース契約では、オーナーと賃貸契約を結んでいるのはあくまでも不動産管理会社です。ですから、不動産管理会社が誰に部屋を転貸しているのかわからないこともあります。

入居者の対応は管理会社にお願いすれば良いのですが、マナーの悪い入居者がいたり、トラブルが大きくなったりと、問題が起きる可能性もゼロではありません。

サブリース契約で注意したいこと

サブリース契約のデメリットを理解した上で、それでもサブリース契約を選ぶ場合は、業者の選び方や契約の内容について、以下の点に気をつけてください。

国土交通省で登録されている業者か

国土交通省では、サブリース契約を含む賃貸物件でのトラブルを防ぐため、平成23年から賃貸住宅管理業者登録制度を設けています。登録しているかどうかは、国土交通省の「建築業者・宅建業者等企業情報検索システム」で調べることができます。

この制度では、契約の前に重要事項説明を書面でするなどのルールが決められており、登録をしている業者はそのルールを守ることが義務付けられています。ですから、サブリース契約を結ぼうと思っている業者がこの制度に登録しているかどうかは重要なポイントです。

家賃保証率をチェック

家賃収入がどのくらいになるか、保証率もしっかり確認しましょう。これによって収入がかなり違ってきますし、ローンの返済にも関わってくる部分です。その保証率の根拠をよく聞き、適正なのかどうかは、オーナー自身が判断しなくてはなりません。

更新のたびに賃料が下がっていくことも見越して、将来的に黒字を確保できる保証率なのか、よく考えて契約しましょう。

賃料の見直し周期がどのくらいか

先ほどもお話しした通り、賃料はずっと一定ではありません。いずれ下がっていくため、どのくらいの期間で見直しをするのかもとても大切なポイントです。何年ごとに見直しするのかも、必ず確認しておいてください。

免責期間はどのくらいか

家賃収入が入ってこない免責期間はどのくらいかも確認しましょう。通常は1〜3ヶ月程度ですが、中には6ヶ月など長く設定されていることもあるので注意してください。その期間の収益がどのくらいになるのか、赤字にならないような対策を考えておかなくてはなりません。

リフォームや原状回復の費用負担

アパートは徐々に老朽化していきますから、10年も過ぎると修繕が必要になってきます。また、退去者が出た時の原状回復など何かと費用がかかります。

それらの費用をどちらがどの程度負担するのか割合などもしっかりと取り決めておかないと、後から思わぬ請求が来て大きな出費となる可能性があります。

解約条件を確認する

サブリース契約では、たとえば「35年一括借り上げ」などといっていても、契約書に「業者から契約を解除できる」という項目があれば、契約期間中であっても一方的に解除される可能性があります。

また、何らかの事情でこちらから契約解除しいたいと思った時、契約内容によってはそれができないため、どのような条件なら解除できるのかも確認しておく必要があります。

日本の賃貸契約では借主の保護が強いため、不動産管理会社の方が有利になることが多いです。何かあった時に解約できるよう、もしくは一方的に解約されないように、契約内容を隅々まで確認してください。

信頼できる会社か、実績はあるのか

国土交通省に登録している業者かどうかとあわせて、過去の実績などもよく調べてください。オーナーとトラブルになっていたり、訴訟が起きていたりすれば、その会社はやめた方が良いでしょう。

まとめ:サブリース契約は家賃が保証されるが業者選びが重要

サブリース契約とは、不動産管理会社がアパートを丸ごと借り上げて家賃保証をしてくれるシステムのことです。空室があっても一定期間、一定の割合で家賃が保証されるので、安定的に収益を上げることができます。

その一方で、更新のたびに賃料が下がったり、オーナーが入居者を選べないなどのデメリットもあります。また、サブリース契約に関するトラブルも見受けられるので、誠実な運営をしてくれる業者かどうかを見極めることが重要です。

国土交通省の賃貸住宅管理業者登録制度に登録している業者か、これまでのサブリースの実績はどうかなどを調べ、信頼できる業者を選ぶと安心です。

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