マンション経営が相続対策に?評価額が低くなる仕組みとは

マンション経営

2022年7月21日

土地活用の王道、マンション経営。利益を生み出せるだけでなく、相続対策にもなることをご存知ですか?2015年の税制改正により、相続税は大きな増税となりました。

何も対策せずにいると、これまでは納税対象者ではなかった人も対象となる可能性があります。都市部では特に注意しなくてはなりません。

そこで、節税対策としてマンション経営をおすすめしたいのです。現金は持っていてもそのままの価値。100万円は100万円ですが、マンション経営なら100万円が50万円の価値になる可能性があるのです。

課税対象となる資産の価値が下がれば相続税も少なくなります。ではなぜマンション経営によって資産価値が下がるのか、その仕組みと、マンション経営のメリットについて解説します。相続税が心配な人は是非参考にしてください。

マンション経営が相続対策になる4つの理由

不動産は、現金よりも価値が低くなることから、相続税対策になります。しかもそれが賃貸用の物件ならば、さらに価値が下がるため、マンション経営は相続対策にぴったりなのです。不動産の価値が下がる理由について、解説します。

1.相続税評価が下がる

不動産というのは、時価で取引されます。たとえばマンションに固定の価格はなく、5,000万円で売り出しても買い手がつかなければ価格を下げざるを得ません。需要と供給が一致して初めて売買が成立するのが時価です。

相続税を算定する際にはこの時価ではなく、路線価を使います。路線価とは公的な価格の一つであり、道路に面した宅地などに適用される価格です。毎年7〜8月に、その年の1月1日時点の価格が国税庁から発表されます。

不動産は、全く同じものがありません。同じ広さの土地でもある場所によって価値が違いますし、建物も同様です。そのため、誰もが納得する価格をつけることが難しく、「なぜあの土地がうちの土地よりも高く評価されるのか !?」というようなトラブルを防ぐためにも、路線価は時価の8割程度の価格となっています。

単に路線価というと「相続税評価額」のことをさすのですが、路線価は時価の2割減となることから、現金として持っているよりは宅地として所有した方が節税対策になります。

建物については固定資産評価額が適用されますが、こちらも建築費の5〜7割程度まで減額されるため、現金と比べると土地+建物でかなりの節税効果が見込めるということです。

2.賃貸住宅にするとさらに評価が下がる

さらに、その土地に家を建てて住むと節税対策になるのですが、自分が住むための家ではなく、賃貸物件として所有することで、さらに評価額を下げることが可能です。

自分の家ならいつでも好きな時に売ることができますが、賃貸物件となるとそうはいきません。日本では借主の立場が強いですから、よほどの理由がない限り、退去してもらうことは難しいのです。「売りたいから」という理由では弱く、どうしても立ち退いて欲しいなら立退料が必要となります。

つまり、賃貸マンションは自宅よりも利用の自由度が低いため、価値が低くなるのです。計算方法は以下の通りとなっており、ここでも、2割程度の減額が見込めます。

土地の評価額ー評価額×借地権割合(90〜30%)×借家権割合(30%)×賃貸割合

借地権割合は地域によって違い、路線価図で確認できます。賃貸割合とは満室を表す数字で、満室なら100%です。つまり、部屋が埋まっているほど評価額を下げられるということです。

3.ローンを債務として財産から引くことができる

マンション経営を始める際に、代金を現金一括で支払える人はほとんどいません。たいていの人は金融機関でローンを組むでしょう。そのローンが残った状態で経営者が亡くなった場合、負債分は相続する財産から差し引くことができるのです。

ただし、令和4年4月19日の最高裁の判決で、路線価による土地の評価が否定され、時価を適用するという判断がなされました。金融機関からの借入が相続税対策が目的であるとされたためです。ですから、相続直前の借入は節税対策にならないことがあるので、時期には注意したいところです。

4.小規模宅地等の特例がある

マンション経営に際し、一定の規模以内のマンションにすれば「小規模宅地等の特例」が利用できます。最大50%の評価減が受けられる可能性があります。

この特例にはいくつか条件があるのですが、被相続人が経営していた賃貸マンションを相続する場合、200m2まで評価額の50%が減額となります。

相続対策としてマンション経営を行う3つのメリット

さまざまな相続税対策がある中で、なぜマンション経営をおすすめするのか、それには直接的な節税効果以外に、このような理由があるからです。

1.安定した不労所得が得られるから

マンション経営が軌道に乗れば、ローンを返済し、あとは収入が入ってくるだけの状態になります。維持管理にかかる費用を抜いた分がまるまる収入になりますから、歳をとって働けなくなっても毎月決まった家賃収入によって生活に困ることはないでしょう。

2.損益通算ができるから

マンション経営は初期費用がかかりますから、最初のうちは赤字であることも珍しくありません。マンションの建設費用は高額ですし、入居者募集に関しても広告費がかかります。

しかし、赤字になれば損益通算ができますので、家賃収入やその他の収入から経費を差し引き、所得税・住民税を減額することも可能です。

3.土地だけ持つより固定資産税が減額できるから

更地は持っていても固定資産税というコストがかかるだけですが、そこにマンションを建てれば宅地の扱いになります。宅地の固定資産税は1戸あたり200m2まで6分の1になります。

建物についても、1戸あたり120m2まで、新築後3年間は2分の1となりますので、建物を建てた方がお得になるのです。

マンション経営の相続対策で注意すること

土地だけを持っているよりマンション経営を行なった方が相続対策になることはおわかりいただけたと思います。しかし、マンション経営は最初からうまくいくとは限りません。いくつか注意点もあります。

一時的な節税だけを考えないこと

マンション経営を成功させるには、経営者としての視点が必要です。たしかに、マンションを建てることで大幅な相続対策ができますが、それはあくまでも経営がうまくいった場合のことです。

経営不振となれば、節税どころか赤字がふくれ、ローンの返済も難しくなってしまうでしょう。また、マンションは築年数が長くなるほど家賃も下がる傾向にあります。定期的なメンテナンスが不可欠であり、維持管理のコストなども考えて経営していかなくてはなりません。

赤字が増えれば、節税どころか子供や孫に負債を残すことにもなりかねないので、経営を安定させることを最優先で考えなくてはならないのです。

マンション経営は立地が重要

マンションを建設すれば、自動的に入居者が集まるわけではありません。交通の弁が良かったり、近くに大学があるなど、賃貸物件としての需要がなければ、どれほど広告費をかけようと入居者は集まらないのです。

マンションを建てようと思う土地の周辺環境を徹底的にリサーチし、どのような物件・間取りが需要が高いのか、誰をターゲットにするのかなど経営者視点で立地を吟味することも重要です。

賃貸経営には専門家のアドバイスが不可欠

賃貸経営は初めてという人がほとんどだと思います。高額な初期費用もかかりますし、なんの予備知識もなしに初めてうまくいくものではありません。

しかし初めての人が一人で勉強して得られる知識は限られているため、ここはやはり専門家のアドバイスを受けながら始めるのが良いでしょう。土地活用やマンション経営に強い不動産会社などに話を聞きながら計画を進めてください。

まとめ:マンション経営は相続対策になる!経営者視点も大事

土地はそのまま持っているより、家を建て、賃貸にするとさまざまな節税効果があります。賃貸住宅を建てることで土地の評価が下がるため、相続税を節約することができるのです。

また、赤字を計上することで所得税の減税になり、宅地にすることによる固定資産税の減税効果もあります。

ただし、相続対策としてマンション経営をするなら、経営者の視点を持って運営することが大切です。ただマンションを建てれば良いのではありません。立地を吟味し、需要の調査などの綿密に行いつつ、専門家のアドバイスを受けながら計画を進めることが賃貸経営成功のカギです。

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