不動産取得税とは?計算方法や軽減措置について詳しく解説

土地活用

2022年7月27日

家を買うときは、その価格だけを見ていてはいけません。不動産を購入すると事務手数料などの諸経費に加え、不動産取得税という税金がかかります。

普段耳にすることがほぼない税金であるため、どのくらいの金額になるの?いつ支払うの?など疑問もあると思います。

そこで今回は、不動産取得税とはどのようなものなのか、計算方法から納付方法、軽減措置などについてわかりやすく解説します。

これから不動産を購入しようと思っている方、または相続の予定がある方は是非参考にしてください。

不動産取得税とは不動産を取得したときにかかる税金

不動産取得税とは、その名の通り、不動産を取得した人に課税されるもので、個人か法人かは問いません。また、登記の有無も関係なく、購入したのかもらったのか、有償・無償を問わないのが特徴です。

土地はもちろん、建物にもかかりますのでそれが自分のために取得したのか、土地活用の目的で取得したのかにもかかわらず課税されます。

ただし、相続によって取得した不動産については、原則として課税されません。

不動産取得税の支払いは一度のみ

不動産取得税は、1回きりの税金です。固定資産税のように毎年課税されるのではなく、取得した時に課税されるだけですから一度支払ったらおしまいです。現に住んでいるところではなく、その不動産がある都道府県に納めます。

贈与税との関係

不動産を贈与すると贈与税がかかりますが、同時に不動産取得税もかかります。贈与税は、婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、最高2,000万円まで配偶者控除が認められるものの、不動産取得税は課税されるので気をつけましょう。

不動産取得税が課税されない場合

贈与の際には不動産取得税が課税されますが、相続の時にはかかりません。たとえば1億円の土地と建物を相続したとして、相続税はかかるかもしれませんが、不動産取得税は課税されないのです。

それは、売買や贈与とは違い、亡くなった人から自動的に受け継いだ財産だからです。相続人の意思に関わらず受け取るものですから、課税はされません。

ただし、全ての相続で課税されないわけではなく、配偶者や子供など法定相続人以外の人が「特定遺贈」という形で相続する場合には課税対象となります。

いくらかかる?不動産取得税の計算方法

不動産取得税の計算式は、以下の通りです。

【建物】建物の固定資産税評価額 × 税率4%
【土地】土地の固定資産評価額 × 税率4%

なお現在は特例措置があり、2024年(令和6年)3月31日までに取得した建物・土地の税率は3%に軽減されます。また、土地の場合は評価額が2分の1に減額されます。

固定資産評価額は不動産の価格ではない

計算の元となるのは、その土地や建物を購入した時の価格ではありません。固定資産税評価額といい、総務省が定めた固定資産評価基準によって各自治体が決めている価格です。実際の販売価格の6〜7割程度になることが多いです。

実際にはどのくらいになるか?計算例

たとえば5,000万円の家を購入したとします。固定資産評価額は5,000万円ではありませんから、3,500万円として計算してみます。

この額の3%となりますから105万円ということになります。なお、2024年4月からは税率が4%に戻りますから注意してください。

購入価格からは算出できないので、固定資産税評価額を調べます。家や土地の所在地の役所で固定資産課税台帳を見れば分かります。

住宅以外の家屋の税率

上記で説明した計算式は、住宅用の不動産の場合です。

  • オフィス
  • ホテルなど商業施設
  • 学校

など住宅以外の建物は税率4%で計算してください。

不動産取得税の軽減措置と控除額

ただし、一定の条件を備えていると不動産取得税が軽減されることがあります。東京都を例に説明します。

新築住宅は1,200万円控除

床面積によって軽減措置があります。以下の条件を満たす場合には、1,200万円の控除があります。

  • 床面積が50㎡以上240㎡以下
  • 戸建て以外は40㎡以上

なお、令和6年3月31日までに一定の要件を満たす認定長期優良住宅を建築すると、控除額が1,300万円になります。

中古住宅の軽減措置は100万円〜1,200万円

中古住宅の場合は、いつ建築されたのかその時期によって、また、耐震基準を満たしているかどうかで軽減措置に該当するかが決まります。

まず、以下の3つの要件を全て満たすことが必要です。

  • 自分が住むために取得した住宅であること(セカンドハウスを含む)
  • 床面積が50㎡以上240㎡以下であること
  • 昭和57年1月1日以降に建築されていること(それ以前の建築は、新耐震基準を満たしているかどうかの証明が必要)

1についてですが、もし住宅目的でない不動産を取得するときは、取得前にリフォーム等が完了し住める状態になっていることが要件です。

控除額は、建築日によって100万円〜1,200万円と幅があります。

建築日控除額
平成9年4月1日以降 ~1,200万円
平成元年4月1日 ~ 平成9年3月31日1,000万円
昭和60年7月1日 ~ 平成元年3月31日450万円
昭和56年7月1日 ~ 昭和60年6月30日420万円
昭和51年1月1日 ~ 昭和56年6月30日350万円
昭和48年1月1日 ~ 昭和50年12月31日230万円
昭和39年1月1日 ~ 昭和47年12月31日150万円
昭和29年7月1日 ~ 昭和38年12月31日100万円

土地を取得したときは45,000円〜の軽減措置

土地を取得した時の減額は、一律の金額ではなく、計算の結果45,000円と比較して高い方を差し引くとなっています。以下が、軽減措置が適用される要件です。

<新築住宅の場合>

  • 新築住宅が建物の軽減措置の要件を満たしていること
  • 土地を取得してから3年以内に住宅を建築し、なおかつその間継続して土地を所有していること
  • または住宅を建築後1年以内に、建築をした人が住宅を建てた敷地を取得していること

<中古住宅の場合>

  • 取得した住宅が軽減措置の要件を満たしていること
  • 土地の取得が住宅取得から1年以内であること
  • (土地の取得が先の場合は1年以内に住宅を取得すること)

簡単にいいますと、土地を取得してから家を建てる場合は3年以内、中古で買うときは1年以内に土地も取得すると軽減措置の対象となります。

計算式は以下の通りです。

(土地1㎡あたりの固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積の2倍)×3%

なお、課税床面積の2倍は200㎡が上限です。この式で算出した金額と45,000円と高い方が適用されます。

たとえば、固定資産税評価額が3,000万円、床面積が100㎡としましょう。

(3,000万円÷100㎡×1/2)×200㎡×3%=90万円

45,000円と比較すると90万円の方が高いので、90万円の控除額が適用されます。

軽減措置を受けるには申請が必要!

いくつかの軽減措置を説明しましたが、黙っていても適用されないので注意してください。都道府県税事務所へ申請しないと満額を支払うことになります。

申請の際は「不動産取得税課税基準の特例適用申告書」に納税通知書や売買契約書など必要書類を添付して申請します。申告書は各都道府県のホームページ(東京都は東京都主税局)からダウンロードできます。添付書類は場合によって違うので、事前に問い合わせることをおすすめします。

申請は、不動産を取得した日(登記した日)から60日以内となっていますので、忘れずに手続きしましょう。一般的には、まず不動産取得税を納税し、そのあとで還付を受ける形になります。

期限までに納めよう!不動産取得税の納税方法

不動産取得税は自分で納めなくてはなりません。まず、不動産を取得したことを申告し、納税通知書が送られてきたら納付をします。

都道府県に届け出をする

住宅や土地を取得したら、管轄の都道府県税事務所に届け出をします。特に難しいことはなく、申告書に必要事項を記入して提出すればOKです。申告書は各都道府県のホームページからダウンロードできます。

各自治体によって申告期限がありますので、念のため確認をしておいてください。申告期限は「不動産を取得した日から●日」となっていますが、これは購入した日や住み始めた日ではなく登記をした日です。この点も注意してください。

納税方法

納税は、現金払いのほか、クレジットカードやキャッシュレス決済なども用意されています。これも自治体によって違いますので、ホームページで確認してみてください。

まとめ:不動産取得税は家や土地を手に入れたら払う税金

不動産取得税は、家や土地などの不動産を取得したときに課税されるものです。原則として、相続で不動産を取得した以外は、たとえそれが無償であっても不動産の価値に応じて税金がかかるという点に注意が必要です。

ただし、2024年3月31日までは一定の要件を満たす場合に軽減措置が適用されます。人によっては非課税になる可能性もありますが、自分で申請しないと適用されないので注意してください。

不動産を取得したら各都道府県税事務所に届け出をすることで納税通知書が送られてきます。このときに、あわせて軽減措置の申請もします。

なお、納付については各自治体で期限が決められていますので、早めに手続きすることをおすすめします。

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