賃貸経営の出口戦略はどう考えるべき?失敗しないコツとは
マンション経営
2023年3月22日
賃貸経営は、いつか終わりが来ます。将来、賃貸物件をどうするか、考えたことはあるでしょうか?本来、出口戦略は物件を取得する前に考えておくべきことなのですが、当初考えていた通りに経営が順調に進むとは限りません。その時々の社会情勢に合わせ、常に軌道修正が必要になります。
出口戦略についてあまり考えずに経営を始めてしまったという人もいると思いますが、今からでも遅くはないです。最終的に利益を出した状態で経営を終えるためにはどうすればよいか、売るのか、相続をするのか、できるだけ早いうちに考えておきましょう。
そこで今回は、賃貸経営の出口戦略の種類について詳しく解説します。自分の物件にはどの方法が適しているのか、判断する材料にしてください。
目次
賃貸経営の出口戦略とは
出口戦略とは、賃貸経営をどう終えるのかという、その道筋のことです。いずれ自分が経営に携わることができなくなったとき、手放すのか、相続するのか、物件をどうするのか考えておくことが大切です。
賃貸マンションや賃貸アパートは、小規模なものであったとしても決して安いものではありませんので、売りたいと思った時に希望の価格で売れるとは限リません。
将来売ろうと思うなら、その前提で物件を維持していかなくてはなりませんし、相続するつもりなら相続税対策も考えておかなくてはならないでしょう。
どのような方法を取るにしても、最終的にどうしたいのか、その形を明確にすることによって経営の方針にも違いが出てくるはずです。賃貸経営で迷子にならないためにも、出口をしっかり見据えてから経営を始めることが非常に重要なのです。
今考えておくべき出口戦略4つの選択肢
では、出口戦略としてどのような方法が考えられるか、いくつか選択肢を見てみましょう。
1.そのまま売却する
築年数が経ってきて空室が目立つようになってきたとき、修繕するか、家賃を下げてでも入居者を募集するか、迷うところだと思います。しかし十分な資金がないと、今後の維持管理も難しくなっていくでしょう。
そのようなときは、思い切って売却してしまうという方法を検討します。売却すれば修繕する費用はかかりませんし、手元にお金が残ります。
2.建物を解体してから売却する
物件の状態にもよるのですが、あまりに古い場合には更地にしてから売却した方が良い場合があります。建物があることが原因で買い手がつかないことがありますので、建物を解体する費用をかけても、自由に使える更地として売り出した方が高く売れる可能性があります。
一つ注意する点としては、固定資産税の額です。建物が建っているときには優遇措置があり負担が小さくなっていますが、更地になるとその優遇がなくなります。
更地にしてから売却するまでの期間が長いと、その分、税の負担も大きくなりますので、計画的に売却を進めていきましょう。
3.リノベーションしてから売却する
建物は取り壊さず、そのまま売りたいけれど、今のニーズに合わない建物になってしまっているという場合は、リノベーションもしくはリフォームという方法もあります。少しでも良い条件を整えることで、高く売れる可能性があります。
リノベーションの費用と想定する売却価格とのバランスを考えて、少しでもプラスが大きくなるなら、ひと手間かけてみるのも良いでしょう。
4.建物を建て替える
もし、ローンをすでに払い終わっている場合には、大規模修繕ではなく、いっそのこと思い切って建て直すという方法もありです。
築30年を超えたアパートやマンションでは、空室も目立つと思いますし、買い手がつかない可能性もあります。
それならば、新たにローンを組んで建てなおした方が、家賃も高めに設定できて収益を増やせる可能性があります。
賃貸経営の出口戦略で失敗しないために気をつけること
ローンを組んで購入した物件をいかに高く売って利益を残すのか、それを考えるのが出口戦略です。本来は、購入する前に考えておくべきことなのです。
購入前に出口戦略を考えておくべき
物件を購入するときは、家賃収入がいくらになるか、ローンを無理なく返していけるのか、ということばかりに目が行きがちですが、最終的にプラスを出した状態で経営を終えられるのかを最初に考えておかなくてはなりません。
というのも、将来いくらで売却できるのかということを考えておかなくては、物件の購入価格が適正か判断できないからです。
その価格で購入して良いのか考える際の判断材料の一つが出口戦略ですから、購入する前に将来像を描いておくことが必要です。
将来高く売れる物件を選ぶこと
物件を選ぶときは家賃収入ばかりに目が行きがちですが、出口戦略を考えるならば、築年数が経っても投資家が買いたくなるような収益性の高い物件を選ぶことが重要です。収益性が高い物件とは、利回りの高い物件です。
高い家賃を維持できる物件ということですが、入居者が絶えない、常に満室に近い状態を維持できる物件には、このような条件が考えられます。
- 駅から近い
- 通勤・通学に便利
- 公共交通機関が便利
- 共用部分のメンテナンスが行き届いている
- 無料のWi-Fiなど人気の設備が充実している
- 「買い物が便利」など暮らしやすい環境にある
など、「ここに住みたい!」と思ってもらえる条件を備えていることが重要です。自分がその物件に長く住みたいと思うか、という視点で考えてみると良いでしょう。
また最近ではテレワークをする人が増えてきて、部屋の中に仕事をするスペースがあったり、共用スペースがコワーキングスペースとして利用できたりする物件の人気も高まっています。
将来の需要も見越して物件を選ぶことが成功のカギとなります。
できるだけローン分を少なくする
ローンが長期化するほど、物件を売りにくくなります。売るときにローンが残っていれば一括返済するのが基本ですから、購入の際はできるだけ自己資金を投入し、ローンの割合を少なくするのがポイントです。
フルローンを考えている人は特に注意が必要です。売却価格よりもローンの残高が多い場合は、「今が売り時だ!」と思っても売ることができません。出口戦略に支障が出ます。
売りたい時に売れるようにするためにも、自己資金の割合を増やし、ローンの残高が少なくなるようにしましょう。
最も高く売れるタイミングを見極めること
売るタイミングは本当に難しいですが、当初考えていた時期が適切でないということはよくあることです。
不動産の価格は需要と供給のバランスによっても変わりますし、イベントや都市開発計画の影響も受けます。
現在、不動産価格はゆるやかな上昇傾向にありますが、公示価格や固定資産税評価額なども参考にしながら、適切な時期を見極めます。
2021年から続く物価上昇の波もあり、日本でも木材の価格などが高騰しています。この値上げ傾向が続けば、今後需要が減少し、不動産の価格も下落することが予想されます。
今売るのか、5年後に売るのか。難しい判断ですが、大幅に価格が下落する前に売ることができれば、出口戦略は成功したといえるでしょう。
今からできる出口戦略
賃貸物件を購入する時に出口戦略をあまり考えていなかった、という人も多いと思います。今から考えてもダメなのか…と諦めないでください。これからでもできることはあります。
やめどきとして考えられるタイミングは、
- 空室率が高く、今後の収益アップが見込めないとき
- ローンが完済できそうなとき
- 目標の収益に達したとき
などが挙げられます。
たとえば、詳細な出口戦略は立てていなかったけれど、物件を所有して10年でこのくらいの収益が上がれば良し、という目標を立てていたとします。
その目標に達したなら、売却するか、それともリフォームなどをしてさらに収益を上げる方法を考えるか、今後の戦略を考える良いタイミングといえるでしょう。
まとめ:賃貸経営の出口戦略は物件購入時に立てておくべし!
賃貸経営の出口戦略とは、物件を売るのか、相続するのか、それとも壊して更地を売るのかなど、どのようにして経営を終えるのかという道筋のことです。
出口戦略は購入してから考えるのではなく、購入する前に考えておくべきことです。最終的な収益をどう確定させるのかを考えておかなくては、経営の方針も立てられないからです。
将来売却することを考えているなら、投資家として、中古でも買いたいと思わせるような物件を選ぶことが重要です。
そして、できるだけ自己資金を投入しておくと、ローンを早く返済し終わるので、売却のタイミングの自由度も増します。
最も高く売れるタイミングを見極めて売却できれば、出口戦略成功といえるでしょう。