賃貸併用住宅を狭小地に建てるには?土地活用の方法と間取りの工夫
賃貸マンション
2022年6月29日
狭小地では大した活用法もないだろうと諦めている人も多いと思いますが、家を建てて人に貸すという方法で収入を得ることができます。賃貸併用住宅なら、自分が住みながら住宅の一部を人に貸すので、収益化も早いのです。
ただし狭小地という特殊性から、間取りなどをよく考えて建てなくてはなりません。今回は狭小地でも賃貸住宅で収益化するためにはどうすれば良いか、間取りのポイントや建築の注意点についてまとめました。
狭い土地でもうまく活用して収益を上げていきたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
賃貸併用住宅を狭小地に建てる3つのメリット
狭小地に住宅を建てるとこのようなメリットがあります。
住宅ローンが利用できる
通常、土地活用としてアパートやマンションを建てる場合にはアパートローンを利用することになります。投資用物件を購入・建築するためのローンなので、住宅ローンよりも金利は高めです。
しかし賃貸併用住宅として建築し、自分が住むエリアを51%以上にするなど一定の要件を満たしていれば、通常の住宅ローンが利用できます。金利が低ければそれだけ返済額も少なくなりますし、収益化までの期間が短縮できるでしょう。
また、住宅ローン控除が適用されますので税還付も受けられますので、返済額によっては家賃収入+税還付でプラスが出るかもしれません。
家賃収入でローンが返済できる
賃貸併用住宅として建てれば、自分が住むだけでなく賃貸物件として貸し出すことができるので、家賃収入をローン返済に充てることができます。その分、ローンの返済も早くなり、返済が終わればあとは家賃収入=利益となります。
相続税対策ができる
相続税は自宅のみの場合と賃貸物件とでは土地の評価の仕方が違い、賃貸の方が評価が低くなるため、節税効果が見込めます。さらに狭小地であれば「小規模宅地等の特例」が適用されるので、最大330㎡まで80%評価が下がるため、賃貸併用住宅は相続税対策としてもおすすめなのです。
賃貸併用住宅を狭小地に建てるには?間取りの工夫
狭小地とはどのくらいの大きさか、明確な定義はないものの、20坪(およそ66㎡)以下の土地を指すことが多いです。このような狭い土地にどうやって賃貸併用住宅建てるのかですが、いくつかのパターンがあります。
居住部分を上にする
2階以上の建物を建てて、上階にオーナーが居住します。
3階建ての場合は、3階にオーナーが住み、1〜2階を賃貸にする場合もありますし、1階と2階の半分を賃貸に、残りの半分と3階をオーナー世帯にするなど、間取りの工夫も可能です。
外に階段を作れば他の住人と顔を合わせることもありません。ただし将来的に階段を使うことが辛くなる場合も考えられるので、エレベーターの設置も考慮しておくと安心です。
居住部分を1階にする
自分が1階に住んで、2階以上を賃貸にするパターンです。3階以上の建物なら、1〜2階を自分の居住スペースにするなどの間取りも可能です。
上階の生活音が気になる可能性はありますが、子供がいるなど階下への足音が気になる場合は、自宅が下にあった方が安心です。
居住部分と賃貸部分を縦割りにする
上下で分けるのではなく、縦割りにするという間取りもありです。この間取りですと、上階の生活音を気にする必要がなくなります。狭小地の形もいろいろありますが、縦長(長方形)の場合はこのパターンが向いているでしょう。
建物を高くする
20坪程度の土地なら階数を増やすことで延床面積を増やすことが可能です。居住部分を増やすことができれば、その分家賃収入も増えるでしょう。
ただし、4階以上の建物ならエレベータの設置も考えなくてはならないので、その分建設費がかかる可能性もあります。
賃貸併用住宅を狭小地に建てるときの注意点
賃貸併用住宅を建てて家賃収入を得ていくためには、建設の前にいくつか注意して欲しいことがあります。以下の点を押さえて、計画を進めてください。
自治体の建築制限をしっかり確認する
建物に関する規制は建築基準法で決められていますが、それ以外に各自治体の条例によって高さの制限などが定められています。ですから、たとえば4階の建物を建てたいと思っても、地域によってはそれができないこともあるのです。
建築前に建築制限を確認しておかないと、階数を増やせないことがありますので気をつけましょう。
土地が道路に2メートル以上接しているか確認する
狭い土地でも建物を建てることは可能ですが、それには「土地が道路に2メートル以上接していること」という条件があります。この接道範囲の条件を満たしていないと建物が建てられません。
敷地の一部でも2メートル接道していれば良いので、要件を満たしているかどうかを事前に確認しておきます。
角地の場合はさらに接道義務が厳しく、各自治体の条例で要件が違う場合がありますので、これも合わせて確認しておきます。
本当に賃貸の需要があるか念入りに調査する
建築基準と同じくらい重要なのが、需要です。賃貸経営を成功させるには、その土地に賃貸住宅を建てて本当に借り手が見つかるのか、事前の調査が不可欠です。どんなに魅力的な建物を建てたとしても、借り手がいないのなら収益化ができません。
また、需要があったとしても、単身者が多いのか、夫婦2人なのか、それとも小さい子供がいるファミリー層なのか、それによって好まれる物件のタイプは違ってきます。ターゲットを間違えると借り手が見つからないため、賃貸のニーズを把握することは最重要課題といっても良いでしょう。
建築の依頼先は厳選する
賃貸併用住宅の建築を依頼する際に、金額だけで決めてはいけません。「狭小地に建てる」という特殊性から、通常とは違う実績が必要です。狭小地ならではの建築プランを提案できて、なおかつオーナーの希望も叶えてくれる建築会社を探しましょう。
間取りによっては4階以上の建物になる場合もありますので、狭い土地をうまく使い、ビルも建てられる建築会社が理想です。
部屋数は慎重に考える
建築費とローン、それと家賃収入を考え、部屋数をいくつにするかという点も重要です。1フロアで2〜3部屋作ってファミリー向けにするのか、ワンルームで単身者向けにするのか。これは、その立地でのニーズによりますので、周囲の物件の入居率などをよく研究して決めましょう。
どのような部屋の広さ、数なら満室が見込めるのか慎重に考えます。
魅力ある賃貸併用住宅を狭小地に建てるポイント
狭いと入居希望者が現れないのでは?と心配される方もいますが、そんなことはありません。ニーズに沿って魅力のある住宅にすればきっと満室になるでしょう。
ターゲットを絞る
大きく分けると、
- 単身者
- 2人世帯(夫婦)
- 3人以上のファミリー
という分類があります。
学校や保育園などの周辺施設も調査の上、どのような人たちが入居する可能性があるのか、ターゲットを絞って間取りを考えましょう。
土地活用は10年、20年と長期間にわたって行うものですから、賃貸物件は将来的なニーズも見据えて建てることが大切です。
デザイン性の高い建物にする
家は広い方がいい。大抵の人はそう思うものです。ですから、広さ以外の点で物件の魅力をアピールしなくてはなりません。
高級感のある外壁で周囲の物件と差別化するのも良いですし、自然素材のフローリングなどを使ってインテリアにこだわるのも良いでしょう。
デザイン性を追求すると建築費用がやや高くなるというデメリットもありますが、狭くても居心地の良い空間を作ることで空室のリスクを低くしていきましょう。
まとめ:賃貸併用住宅を狭小地に建てることは可能!ニーズを捉えて収益化
20坪以下の狭小地といわれる狭いところでも土地活用のひとつとして賃貸併用住宅を建てることは可能です。自治体の条例などを調べ建物が建てられることを確認した上で、立地条件、賃貸のニーズなども綿密に調査しましょう。
狭い土地の活用法を熟知しており、ニーズに合わせた設計ができる建築会社を見つけることも大切です。家賃収入を得ながら快適に生活してくために、狭い土地でも間取りを工夫して納得のいく住宅建築を目指していきましょう!