マンション経営とアパート経営の違いやメリット・デメリットを解説

マンション経営

2022年6月8日

土地活用や資産活用で賃貸住宅の経営を考えるとき、よく目にするのが「マンション経営」や「アパート経営」の文字。普段の会話では、マンションとアパートをあまり区別していない人も多いのではないでしょうか。

賃貸経営においても、実はマンション経営とアパート経営という言葉の明確な定義はありません。しかし大まかな違いは存在しています。

この記事では、賃貸経営におけるマンション経営とアパート経営との違い、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

マンション・アパート経営で共通のリスクや対策についても紹介するのでぜひ参考にしてください。

マンション経営とアパート経営の違い

同じ「集合住宅の賃貸経営」であるマンション経営とアパート経営。どちらにすべきかを選ぶ前に、まずはそれぞれどう違うのかを見ておきましょう。

建物としてのマンションとアパートの違い

不動産業界の広告表示に関する規則(※)を見てみると、マンションとアパートの建物について次のように区別がされています。

・マンション・・・鉄筋コンクリート造りその他の堅固な建物
・アパート・・・・マンション以外の建物

※不動産の表示に関する公正競争規約施行規則

マンションは「鉄筋コンクリート造り」が基準とされているので、構造で言えば木造や軽量鉄骨造の建物はアパートに該当すると考えるのが妥当でしょう。

賃貸経営におけるマンションとアパートの違い

経営する建物としても、マンションとアパートでは違いがあります。

アパート経営では、1棟まるごとを所有して賃貸経営をすることが一般的です。

一方マンション経営では、1棟まるごとを経営するのと1室(あるいは複数の部屋)を所有・賃貸経営するという2つのパターンが存在します。

1棟まるごとを所有することを一棟所有、一部の部屋を所有することを区分所有と呼びます。

マンション経営のメリット・デメリット

鉄筋コンクリート造など頑丈な建物を1室あるいは1棟単位で管理するマンション経営。どのようなメリット・デメリットがあるのかも見てみましょう。

マンション経営のメリット

アパートと比べたマンション経営のメリットは、建物の強度の高さにあります。

鉄筋コンクリートの法定耐用年数は、47年とされています(木造は22年)。耐用年数とは、資産価値があるとされる期間のこと。耐用年数が長いと、ローンの借入期間も長くできる可能性があります。

構造的に強いこと、高い階層の部屋も作れることで、家賃水準もアパートより高く、一棟所有で戸数が多ければ、家賃収入も多くなります。

マンション経営のデメリット

一棟所有のマンション経営では、物件の取得にかかる費用がアパートより高いのが最大のデメリットです。また、建物が大きく、高くなるほどメンテナンス費用も高額になります。

1室だけを所有して貸す区分所有の場合は、空室になれば家賃収入がゼロとなってしまいす。収入がない期間であっても、部屋を所有している以上は管理費や共益費を払わなくてはなりません。

アパート経営のメリット・デメリット

木造や軽量鉄骨造であるアパートには、どのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。

アパート経営のメリット

アパート経営は、マンションより少ない資金で始められるのが最大のメリットです。同じ一棟所有で比べてみても、アパートの方が物件数が少ないため管理がしやすく、メンテナンス費用も抑えられます。

また、アパートはマンションに比べて耐用年数が短いため、減価償却費が高くなります。減価償却費が高いということは、その期間は節税効果がより高くなるということです。

アパート経営のデメリット

建物の構造として強度や遮音性などが低く、セキュリティ面でもオートロックなどがないアパートは、マンションよりどうしても家賃水準が低くなります。

また、火災や風水害で大きな被害を受ける可能性が高いことも、アパート経営のデメリットの1つです。

マンション経営・アパート経営3つの共通メリット

マンション・アパート経営には、共通するメリットもあります。ここで改めてマンション経営・アパート経営の主なメリットについて見ておきましょう。

  • 長期的な収入源となる
  • 節税ができる
  • 景気に左右されにくい

最も大きなメリットは、家賃収入という長期的・定期的な不労所得が見込めることです。月々の家賃だけでなく、入居時の礼金や契約更新時の更新料も収入となります。

また、マンションやアパートを経営することで、不動産取得税や耐用年数に応じた減価償却費、修繕費や損害保険料などを経費として計上できるため、所得税や住民税の節税が可能です。将来的には、相続税対策にもなります。

さらに、収入源である家賃は景気が悪くなったからといって下がるものではありません。長期的に安定した資産形成ができるというのもマンション・アパート経営の大きなメリットです。

マンション経営・アパート経営3つの共通リスク

マンション・アパート経営には、次のような共通するリスクもあります。

  • 空室となるリスク
  • 競合が存在するリスク
  • 入居者トラブルのリスク

賃貸経営で最も大きなリスクと言えば、やはり入居者が入らず空室となるリスクです。1室所有では「空室=収入なし」となりますし、複数の部屋を所有していても、満室状態を常に保てるとは限りません。

立地が良い物件は周辺にもライバルとなるマンション・アパートが多く集まりやすく、差別化が必要だったり、価格競争に巻き込まれてしまったりするおそれも。

入居者同士で騒音トラブルが起きる可能性もありますし、家賃の滞納をする人やクレーマーがいればその対応も必要となります。

マンション・アパート経営を成功させるには

メリットがある一方、避けられないリスクがあるのもマンション・アパート経営です。最後に、経営を成功させるために必要なポイントを押さえておきましょう。

立地条件の良い物件を選ぶ

マンション・アパートの経営で最も避けたいのは空室です。入居者が集まりやすいのはやはり立地の良い物件。駅からのアクセスが良い、学校や病院、スーパーマーケットに近いなど、人気の条件を満たす物件を選ぶことが重要です。

日当たりの良さやある程度の静かな環境を選ぶ、劣化しやすい海の近くや土砂崩れの心配があるような場所を避けるなど、気を付けるべき点はいくつもあります。

ターゲットを絞り、ニーズに合わせる

立地条件にも関連しますが、入居者としてどのような人をターゲットとするかを決めておくのも重要なポイントです。というのも、それによって住居に求めるものが違ってくるからです。

たとえばファミリーなら家族構成に合わせた3LDKなどの間取りで、保育園や学校、公園に近い物件を選ぶ人が多いでしょう。単身者向けであればワンルームで通勤に便利な駅近くの物件にニーズが集まりやすいと考えられます。

目先だけでなく将来も見据える

初期費用を抑えるために取得費用の安い物件を探したり、その時点で人気の地域を選んだりしがちですが、将来的なメリットやニーズも視野に入れて考える必要があります。

中古物件を取得するなら、地盤の沈下や雨漏りなどがないかを見極める必要があります。古くても良い物件を探して初期費用を抑えましょう。

社会全体を見て、将来的に人口が減ること、外国人労働者など海外からの移住者が増えることも視野に入れておく必要もあります。

定期的な点検やメンテナンスを怠らない

どんな建物も経年劣化は避けられませんが、メンテナンスの仕方によって良い物件かそうでない物件かが大きく分かれます。

入居者が安心して暮らせるように、また、住宅を探す人にとって魅力的であるように、定期的な点検や修繕を怠らず管理していくことが重要です。

マンション経営を単なる投資ではなく入居者と地域のための事業と考えれば、手をかけることが自身にとっての喜びにつながるのではないでしょうか。

信頼できる業者に管理を任せる

マンション・アパート経営の成功には、自分で管理するよりプロである管理会社に委託するのが得策です。

入居者の募集や賃貸契約、物件の管理・修繕手配から家賃の督促やクレーム対応など、すべての管理業務を請け負う方法もあれば、一部のみ委託する事も可能です。

ただし業者への委託には費用もかかりますし、すべてを委託すると経営者としてのやりがいは感じられないことも。管理業者も複数存在しますので、比較検討するなどよく吟味して選んでください。

自分に合ったマンション・アパート経営を

マンション経営・アパート経営は混同されがちですが、実はマンションとアパートには構造的な違いがあります。

鉄筋コンクリート造など頑丈なマンションは、1棟あるいは1室での経営ができます。1棟では高額になるものの耐用年数が長く、長期でローンが組めたり家賃収入も多かったりするメリットがあります。

木造や軽量鉄骨造のアパートは、マンションより初期投資もメンテナンス費用も低く抑えられるメリットがあります。

しかしメリットだけではなく、それぞれにデメリットも存在します。なかでも最大のメリットは、マンション・アパートともに空室のリスクがあること。

入居者のターゲットを明確に想定するなどして空室のリスクを減らし、理想のマンション・アパート経営を実現させましょう。

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