賃貸経営で大切な利回りとは?押さえておくべき3つの利回り
マンション経営
2023年2月13日
賃貸経営を黒字化し、安定的に収益を上げていくには利回りをしっかり考えていかなくてはなりません。利回りとは投資した金額に対してどのくらい収益があるのかという割合のことです。
利回りには種類がありますので、それぞれの意味と計算方法を知っておくことで、賃貸経営に活用していけるでしょう。
物件を選ぶ際にも、利回りについてしっかり理解しておかないと、経営を始めてから、全然収益が上がらないと悩むことにもなりかねません。
賃貸経営は数字で判断しなければいけないことがたくさんあります。これから賃貸経営を始めようとする人も、すでに始めているけれど思ったように利益が上がっていないという人も、ぜひ参考にしてください。
目次
賃貸経営で利回りが重要な理由
投資した金額に対する家賃収入の割合を利回りといいます。たとえば1,000万円で購入した物件の家賃収入が年間100万円なら、利回りは10%と考えます。
家賃収入は部屋数によっても違いが出ます。1部屋の家賃が高い方が儲かりそうですが、部屋数やコストによって収益に差が出ます。
たとえば1部屋の家賃が10万円、10部屋で100万円ですが、家賃が8万円にして15室だと収入は120万円になります。維持費が同じくらいだとすれば、1部屋の家賃を下げて部屋数を増やした方が利益は大きくなります。
しかし、賃貸マンション経営を始めようとする時、いくらの収入があるかだけでなく、いくら経費がかかるのかを考えなくてはなりません。
最適な家賃設定にするためには、収入と維持費のバランスも大切です。このように、収益を上げるための経営方針を決めるために、利回りという考え方が重要なのです。
賃貸経営で押さえておくべき3つの利回り
利回りにはいくつか種類があり、計算方法が違います。同じ物件でも、計算の仕方によって利回りが違ってきますので、内容をしっかりと理解しておくことが大切です。
1.表面利回り
表面利回りは、投資額に対する家賃収入の割合です。賃貸物件を維持するコストは全く考慮していないため、実際の利回りよりも高くなります。別名、グロス利回りとも呼ばれます。
【計算式】家賃収入÷投資額×100
土地活用の広告などに書いてある利回りは、この表面利回りを指していることが多く、利益率の高い物件だと勘違いしてしまうことがありますので注意が必要です。
2.想定利回り
想定利回りとは、投資額に対して、空室がなかった場合の家賃収入の割合のことを示したものです。
【計算式】満室の場合の家賃収入÷投資額×100
まだ入居者のいない新築物件によく使われますが、満室の状態を想定しているという点に注意が必要です。
あくまでも「想定」なので、実際の家賃の相場より高い家賃で計算されている場合もありますから、計算に使っている数字の根拠を確認することが大切です。
3.実質利回り
実質利回りとはその名の通り、実際にかかる経費に近い数字を使っているので、これが最も信頼できる数字です。
【計算式】(家賃収入ー経費)÷投資額×100
経費には以下のようなものが含まれます。
- 固定資産税および都市計画税
- 火災保険料
- 管理会社への委託料
- 物件の軽微な修繕費等の維持費
- 仲介手数料
- 購入時にかかる税金、印紙代
- 司法書士の報酬
なお、毎月のローン返済分や減価償却費などは含みません。
実際の経費を細かく出すことは難しい場合もあります。そのため年間の経費は家賃収入の20%、購入時の諸費用は物件価格の10%を目安に計算します。
賃貸経営の利回りの相場
不動産はエリアによってかなり家賃の差がありますが、東京都内は家賃が高いので、表面利回りも高くなります。実際の利回りは3.0〜4.0%ほどになれば良しといえるでしょう。
では、実際の利回りとはどのくらいになるのか、その相場を見てみましょう。
一般財団法人・日本不動産研究所の「不動産投資家調査(2022年10月)」によりますと、東京都内の賃貸住宅の利回りは以下のようになっています。
【ワンルーム】
築年数:5年未満
総戸数:50戸程度
最寄駅から徒歩10分以内
- 期待利回り:3.9〜4.1%
- 取引利回り:3.6〜3.8%
【ファミリー向け】
築年数:5年未満
総戸数:50戸程度
最寄駅から徒歩10分以内
- 期待利回り:4.0〜4.2%
- 取引利回り:3.7〜3.9%
※取引利回りとは実際に市場で取引されている金額を元に算出された利回りのこと
利回りを見るときの注意ポイント
利回りは、その賃貸物件の収益がどのくらい出るかの参考となる数値ではありますが、一つの目安に過ぎません。参考にしつつも、この数字だけに固執しないことが大切です。
利回りの数字を過信しない
利回り6%の物件を購入したとして、本当にその利益が出るとは限らないということを忘れてはなりません。また、今年良い利回りで運営できたとしても、来年同じように利益が上がるかというと、それもわからないものです。
今後も、新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻のように、想定していなかった事態によって経営に影響が出ることはいくらでもあるでしょう。利回りはあくまでも目安であり、この数字の通りに経営がうまくいくわけではありません。数字を過信することなく、空室対策などを徹底していきましょう。
利回りが高いからといって儲かるわけではない
利回りの数字を比較すると、5%よりも10%の方が当然儲かるように見えます。しかし利回りとは最初に説明した通り、投資額に対していくら収益があるのか、という割合を示す数字です。収益が同じでも、投資額が少なければ利回りは高くなるのです。
利回りの高さだけでなく、初期費用や経費がどのくらいかかるのか把握しておかないと、収入が少なくなってしまうこともあります。
また、物件の価格や家賃は、駅からの距離や築年数によってかなり幅が出てきます。表面利回りの例を見てみましょう。
【新築・駅から徒歩5分・オートロック】
物件価格:5000万円
家賃:12万円(30戸)
表面利回り:7.2%
【築5年・駅から徒歩10分】
物件価格:3000万円
家賃:10万円(30戸)
表面利回り:10%
数字だけを見ると、築5年の物件の方がお得に感じます。しかし、物件の条件を考えると、空き室リスクが少ないのは新築の物件です。利回りの数字だけを見るのではなく、将来性も見抜いたうえで、物件を選ぶことが重要です。
まとめ:賃貸経営の利回りは数字だけにとらわれないことが大事!
利回りとは、物件の購入価格などの投資額に対する家賃収入の割合のことです。購入した物件がどのくらいの利益を上げるのかという一つの指針となるものですが、利回りにはいくつか種類があります。
表面利回りや想定利回りは、「家賃収入がこのくらいあれば」という理想の利回りであり、必ずしもこの数字通りの利益となるわけではありません。経費を考慮した実質利回りが本来の利益率に近い数字です。
ただし、利回りはあくまで目安です。経営がこの数字通りに進められるかどうかはわかりません。物件を購入する際の参考にはなりますが、賃貸経営で大事なのは先を見越した物件選びと空室対策です。利回りが高いからといって必ずしも儲かるわけではないということを忘れずに、空き室が出にくい収益性の高い物件を見極めましょう。